新しいツーリズモ・ヴェローチェは、MVアグスタによると彼らにとって、初の本格的ツアラーモデルになるのだという。
実際、エンジンも車体も、他の3気筒モデルとは異なる設計を受けた部分が多く、ツアラーとして最適化されている。また前後サスペンションのストロークが、一般的なロードスポーツよりも40oほど大きいことからすると、いわゆる長脚系のアドベンチャーツアラーの仲間に入れていいだろう。
となると、ワイルドなキャラを想像されるかもしれないが、第一印象ではまったくそんなことはない。むしろ、ホッとさせてくれる優しさでいっぱいである。ストロークがたっぷり与えられたサスのおかげで乗り味が快適で、エンジンは低中回転域のトルクが増強されているだけでなく、トルクの出方がスムーズでまろやかだからだ。
しかも、無駄にライダーを刺激しない。イタリア製のバイクは、それぞれにパッションを伝えてくるのが身上だが、ツーリズモ・ヴェローチェはライダーを無闇に高揚させることがない。穏やかな気分で一般道を流すことができるのだ。
足着き性はいいとは言えないまでも、足を着けば車体を安定させて支えることができ、ミドルクラスならではの、ほどよい車格は乗り手にストレスを感じさせない。そのうえ走りは上質。豊かな低中回転域トルクや秀逸な乗り心地は、豊かな気分にさせてくれる。
走らせていると、もっと遠くへ行こうという気にさせられ、ワクワクしてくるではないか。やはり、こいつは生粋のツアラーなのである。
|