コンパクトな車体にパワフルなエンジンを搭載し、“通勤快速”として名をはせてきたアドレスV125Sの後継がアドレス125だ。従来、前後10インチだったタイヤをフロントのみ12インチとし、ボディも大型化。SEP(スズキ・エコ・パフォーマンス)という低フリクション、低燃費を実現したエンジンを搭載し、より快適でエコな志向へと方向転換した。そのアドレス125のシートをフラット化し、トランクスペース容量を向上させたのがこのモデルだ。段差のない平坦なシートはポジションの自由度が非常に高い。また、フロアボードがとても広々としている上に、つま先を前方に出せるスペースも確保しているため、身長180cmほどの大柄な男性が乗っても窮屈には感じないはずだ。
最高出力は6.9kW(9.4ps)と、このクラスではごく標準的。スタートダッシュも、ガツンとした加速感はない。ところがスズキの実験では、アドレスV125Sよりも発進加速性能は現モデルの方が上だという。エンジンはとても静かで振動が少なく、青信号での発進ではいつの間にかスルスルと加速して、気付けばクルマの流れを余裕でリードしている。混雑する通勤路では、カリカリしたエンジンよりもこちらの味付けの方が疲れにくいだろう。フロントを12インチとすることで、走行時の安定性も従来より高まり、路面のギャップに突っ込んだ際の安心感も向上。従来モデルより値下げし、希望小売価格を22万円台に抑えるなど、コストパフォーマンスにも優れた魅力的な1台となっている。
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