2011年にデビューしたGSR750は、当初は輸出専用モデルとして販売されていたスズキ製ストリートファイターである。ファッションにも拘る欧州の若いライダーたちがストリートで乗りたくなるようなバイクを、というのがそもそものコンセプト。開発段階では欧州各地で入念なリサーチをかけて作りこんだという経緯を持つモデルである。
デザインのハイライトはフロントマスクからタンクへかけての複雑な面構成だろう。欧州で人気のストリートファイタースタイルをスズキ流に解釈し、GSX-Rを髣髴とさせるエッセンスを盛り込んでいる。
エンジンはGSX-R譲りの水冷4気筒で、どちらかというと街中での扱い易さが優先された味付け。乗ってすぐに分かるほどの過激さはないが、それでもベースエンジンのポテンシャルの高さは隠しきれるものではない。スロットルを素早く捻れば、あっという間に周囲の車両をミラーの奥に追いやる牙を隠し持つ。
国内版ではABSを装備して登場したが、フロント・リアともに作動時のキックバックも少なく、不快な印象はない。サスペンションは街中では少し固めにも思えるが、飛ばしたときにはシックリ来るので、スポーツ走行でも相当な無茶をしない限り許容してくれるだろう。
シートはデザイン優先のためかクッションは薄め。長時間のライディングではお尻が痛くなるが、GSR750はロングツーリングなどの使い方よりも、街中で遊ぶモデル。ファッションを楽しみながら、週末夜のにぎやかなベイエリアやクラブへ乗りつける、そんな使い方の方がキャラクターに合っている。
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