逆輸入されたばかりで、各方面から高評価を受けているスズキのグラディウス。一見すると単なるツインエンジンのネイキッドにしか見えないのだが、走らせてみるとその自由自在な感じが多くのライダーを感動させている。街中を走るくらいの速度から、ハイスピードのワインディングまで意のままにマシンが反応するのだ。
エンジンはSV650のツインをそのまま流用。90年代の設計だが、低速から十分にトルクがあり、高回転まで気持ち良く伸びていく性能は必要にして十分。スロットルを開けた時のトルクの出方も穏やかだから、コーナーの立ち上がりでも、まったく気を使う必要がない。右手を開けていけば、勝手に理想的なパワーが出ている感じすらしてしまう。
扱いやすさを考えたというハンドリングは、初心者だけでなくエキスパートライダーも唸らせる乗りやすさ。それに加えて、スポーツ性が高いレベルでバランスしている。しかも、とても素直にバンクしていくためライダーが恐怖心を感じることもない。だからとくに意識していなくても、思い切ったライディングができてしまう。
あまり語られることはないが、この性格はスポーツバイクにとって、かなり重要な要素である。オートバイというものは、オッカナビックリ乗っていると、いつまでも面白くないし、いくらテクニックを勉強したところで上達できない。ところが恐怖感がなくなれば、一気に上達してしまう。グラディウスは、そういう点において、かなり優秀。スポーツバイクに乗っていてライディングで悩んでいる人の何割かは、このマシンに乗り換えるだけで問題が解決するだろう。
グラディウスには、リッターバイクの大きさや迫力もないし、スーパースポーツのような圧倒的高性能もない。しかし、走った時の面白さや満足感は、どんなマシンにもひけを取らない。しかも通勤からサーキット走行くらいまで、幅広くこなす懐の広さ。これなら多くの人から注目されるのも当然だろう。
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