ハイスペックのロードスポーツと言えば大型二輪が主流のいま、400ccはある意味ハンパな排気量と見られがち。若者や初心者向けというイメージがどうしても付いてまわるし、需要を反映してか各社のラインアップも少ない。しかし、バイクブームの80年代を知っているライダーであれば、ヨンヒャクの実力が侮れないことはよーく知っているはずだ。カッチリとパワーを引き出して操る腕さえあれば、大型バイクと対等に走ることもできるし、小さく軽く機敏に動くから、シチュエーションによってはむしろ速い。
そんな400ccクラスにあって、最近のトピックといえば、スズキのGSR400がマイナーチェンジを受けて、再登場したことだ。
今回の変更での注目は、なんと言ってもエンジン。最高出力が従来モデルの53馬力/1万1000回転から61馬力/1万2000回転へと大幅にアップし、エンジン特性も高回転寄りとなった。
また、出力面だけではなく、エンジンを制御するECMにO2フィードバックシステムを採用し、マフラーに設置されている触媒も大型のものに変更するなど、排ガス浄化能力の向上もはかられている。このへんも、世のなかの要求に応えたものへと進化したわけだ。
実際に走らせてみれば、ヨンヒャクならではのメリットが大いに感じられる仕上がり。ボリュームのあるタンクが本格的なモーターサイクルに乗っている満足感と安心感をほどよく与えてくれ、それでいて小柄なライダーでも不安なく扱える取りまわしの軽さがある。
エンジンは高回転まで軽快に吹け上がるから、1万回転オーバーまで加速してギヤをつないでいくような走りは、すこぶる爽快だ。峠道を走れば、かつてのレーサーレプリカを思い起こさせる。低回転でのトルクは大型バイクより細いけれど、上半身の自由度が大きいネイキッドだから、Uターンもレプリカよりはラクチン。GSRは、街乗りから峠まで、肩ひじ張らずに乗ることができるのだ。
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