04年に登場したVストローム650はスポーティな走りと快適な乗り心地から、瞬く間に欧州で人気モデルとなった。今回8年ぶりとなるモデルチェンジでは、カウルデザイン、エンジンが大きく変更。ABSも標準装備となった。
実車に対峙してみると車格は650ccながら大きめだ。またがるとシート前方とタンクの後端が絞り込まれているものの、身長170cmでも足付き性はいまひとつ。しかし、ハンドル切れ角は同社のグラディウスやGSR750といったネイキッドモデルと比べて大きく、Uターンでも小回りが容易なため、一度走り出せば足付きの悪さなど、簡単に忘れることができるほど、取り回しはしやすい。
従来モデルよりも低中速域のトルクアップを図ったエンジンは、高回転域でもよどみなく、レッドゾーンが始まる1万回転付近まできっちり回る。その一方で、アクセル操作に対して過敏すぎることは無く、渋滞路でも扱いやすい。フロントに19インチ、リアに17インチという組み合わせの足周りは、前後17インチを履くスポーツモデルには無い気持ちの良い旋回を味わうことができるし、良く動くストロークの長いサスペンションのおかげで、長距離を走行しても疲れは少ない。さらに、アップライトなポジションとも相まって、ちょっとしたダートでも簡単に走破できるだけのフレキシブルさも併せ持つなど、ツーリングバイクとして、日常の足として不足のない性能を備えている。
これ一台でマルチに楽しむことが可能な数少ないバイクだ。
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