ヨーロッパではレース入門カテゴリーといった事情もあって、リッタークラスに劣らない進化を遂げている600ccスーパースポーツモデル。すでに各社揃った2011年モデルの中で、唯一、ブランニューモデルとして登場したのが、スズキのGSX−R600だ。
アグレッシブなカラーリングと標準装備の高性能足周りパーツからは、これまで通りレーシーで尖がったイメージが伴うが、試乗した印象はこれまでにないくらいフレンドリーだった。エンジン特性や車体構成を考えると、これなら大型免許を取ったばかりの女性でも扱えるのでは、と思えるくらいである。
まずエンジンだが、市街地など日常的に使用する5000回転以下の回転数ではパワーの出方がスムーズで、唐突な反応がないため気楽に走れる。上級者にとってはもの足りなく感じるかもしれないが、逆を言えば変にギクシャクすることもなく乗りやすさを感じる部分だと思う。そこから8000回転までは、フラットな特性で、徐々にパワーが厚みを増す。そして8000回転から上で本領発揮。「コワーッ!」という元気な吸気音とともに、軽い車体が一気に加速、スーパースポーツの名に恥じない活発な走りを生む。
ポジションは、ハンドル、シート、ステップがコンパクトに配置され車体が小さく感じる(実際に小さいのだが)し、なにより足着き性がよく170cm程度の身長があれば両かかとが路面に付く。
街を移動する下駄代わりから、サーキット走行まで対応できる、新世代スーパースポーツだ。
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