フロント部にボリュームがあり見るからに大柄だが、走り出すとその軽快さに驚く。トルクフルで伸びのあるエンジンは、グラマラスなボディを力強くグイグイと、しかもスムーズに加速させてくれるので、想像以上にスポーティな走りが可能なのだ。一般道はもちろん、高速道路の合流時なども不安のない力強い加速を見せてくれる。これは250ccではなく300ccクラスのエンジンだからこその余裕だろう。しかも、その走りはとても安定感のあるもので、地面にピタッと張り付くような走行感覚となっている。流れの速いバイパスや高速道路でのレーンチェンジでねらった位置に気持ちよくピタリと車体が決まり、ブレたり揺れ戻ったりなどの不安定な挙動は一切ない。
コーナリングに関しても、多少フロント部の重さを感じるものの、3輪であるということをまったく感じさせない素直な操縦特性だ。これはより自然でなめらかな旋回性を実現した「LMWアッカーマン・ジオメトリ」という機構を採用しているためだ。フロント左右にそれぞれ2本のサスペンションを装備していることもあり、片側のタイヤだけが縁石に乗り上げたりした場合でもうまくショックが吸収され、挙動を乱すことなく安定した走りが可能となっている。
停車時の自立をサポートする新採用の「スタンディングアシスト」機能にも注目だ。信号待ちやタンデム時の乗降の際に便利で、アシスト中でもサスペンションは動くため、押し歩きで段差を乗り越える場合などもスムーズに車体を取りまわせる。
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