例えば周囲の友人知人から、「MT-25と03のどちらが良い?」と相談を受けたら、僕は返答に悩むだろう。と言ってもYZF-R25/3のネイキッドとして開発されたMT-25と03は、いずれも軽快で親しみやすいモデルで購入を踏みとどまらせようという意識は微塵もない。
YZF-R25/3の優れた基本設計はそのままに、カウルの撤去と乗車姿勢のアップライト化が行われたMT-25/03は、市街地走行やツーリングを快適にこなす万能性を備えている。ただし、どちらがベストかを選ぶのは難しい問題だ。というのも、MT-25と03は、YZF-R25/3以上に別物感が強いのだから。
今回紹介するMT-25の印象だが、まず感じたのは低中速域の出力/トルク特性が穏やかで、かつスロットルワークに対する車体の反応も穏やかなこと。そのため、当初の僕はエントリーユーザーやリターンライダーに向いていると感じていた。事実、車両価格がMT-03より3万円ほど安くて車検がないMT-25は、そうした層からの支持を集めている。
しかし、実はMT-25には往年のRZ250シリーズを彷彿とさせる“回してナンボ”な資質も備わっていて、7000回転以上をキープして走れば、キレ味のいいスポーツライディングが満喫できるという、そんなエキスパートライダー向きな一面も備わっているのだ。このあたりが車両選択の悩みの種になる部分である。
ちなみに、MT-25の2次減速比はMT-03と同じ14/43。現状の二面性はこの数値が一因なのだが、個人的にはもう少しローギアードな方向、14/44か、13/43を試してみるのも面白そうな気がしている。
|