BOLTの登場は2013年末のこと。すでに6年近くの年月が経ったのだが、今見ても色あせることのないスタイリングとして目に映り、老若男女問わず幅広い層に支持されるロングセラーモデルだ。
空冷950cc、60度Vツインを搭載、ボア85×ストローク83mmという若干ビッグボアめに設定されたエンジンは、セルボタン一つで目を覚まし、アイドリング中は空冷Vツインエンジンらしい心地よい鼓動感を得られるものだ。この振動は現在の技術をもってすれば消すこともできるだろうが、あえて残すという演出をすることで、キャラクターを打ち出しているといえよう。エンジン特性はトルクフルな設定とされており、軽いスロットルワークで約250キロの車重をものともせず前へと押し出してくれる。逆に高回転での頭打ちは早いが、このバイクはギャンギャン回して走らせるのではなく、低回転域での力強いトルクを愉しみながら走るものなのだ。ハンドリングに関しては、若干ダルな方向性とされているが、直線を多用するロングクルーズでは快適そのものであるし、入力に対しての応答もいたって素直なので、気持ちよく走らせることができる。ただしバンク角が浅いため、ワインディングを攻めるような走らせ方をする際には注意が必要だ。
BOLTならば、通勤通学のように日々乗るようなシーンで使っても飽きることがないだろうし、ショートスクリーンやバッグを装備して何泊もするようなロングツーリングに出たくなる欲望にも駆られる。オートバイ本来の“楽しさ”が凝縮されているのである。
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