スポーツバイクに匹敵する走行性能と、スクータータイプならではの利便性を兼ね備えるモデルとして、01年型にデビューしたヤマハTMAX。直近では13年型で、排気量の31cc拡大と後輪のベルトドライブ化、アルミ製リアアームの新採用などMCが施されていた。
このTMAXが、さらなる熟成を遂げた。まず外観が刷新され、それに合わせてフロントフォークの倒立化や前ブレーキキャリパーのラジアルマウント化、スマートキーシステムなどが採用された。
欧州市場をメインターゲットとする機種だけに、シートはかなり高めにセットされ、足着き性はあまりよくない。反面、ライポジにはかなり余裕があり、小柄なライダーなら完全にヒザを伸ばして乗れる。
排気音は歯切れのよい低音を響かせ、スロットルを開けると俊敏なダッシュを披露する。極低速域では、扱いやすさも重視して過敏すぎない設定ながら、30km/hあたりからは本領を発揮。あっという間に法定最高速度へと達する。
ボディは大柄だが、アルミ製フレームを基本とする車体は、驚くほど軽快な旋回性を持つ。ハンドリングはニュートラル。センタースタンドがあるためバンク角は限られるが、とはいえ街中で簡単に接地してしまうことはない。
今回の改良で手が加えられた前ブレーキは、剛性のある車体やサスとの組み合わせにより、抜群の制動力を発揮する。しかも、この15年型からはABSが標準装備となっているので、安心感も高い。
さすがは大型スーパースポーツATのパイオニアである。
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