3輪スタイルながら通常のスクーターと変わらない乗り味で注目を集めたトリシティ125。その155cc版が登場した。「125」の単なるボアアップではなく、排気量155ccの“BLUE CORE”エンジンを搭載するための専用フレームを与えられたニューモデルである。
「125」に比べてホイルベースは40mm延長され、リアタイヤもワンサイズ太めのワイドタイヤを採用。高速走行での安定性を向上させている。身長170cmの筆者にとってはシートは高めで、足つき性はそれほど良くはない。しかし、ハンドルは低めに設定されていて、腕にゆとりがあるリラックスした乗車姿勢が可能だ。ステップフロアには足を前方に投げ出すスペースはないものの窮屈な感じはしなかった。
エンジンは「125」に比べて4psアップの15ps。パワフルだが車重が9kg増えた分、走り出しはマイルドだ。一方、高速域では伸びがあり、60km/hを超えて80km/hあたりまでは気持ちよくスピードが乗ってくれる。最終的に100km/hを超えるまで加速は続くので、高速道路の走行車線の流れに乗るには充分だろう。
旋回時に前2輪がリーン(傾く)する機構とサスペンションは秀逸で、コーナーリング中の安定感の高さは、このモデルの個性といえる性能だ。また、マンホールの段差や荒れた舗装路面に遭遇しても何事もなかったかのように通過できる衝撃吸収力は比類ないもので、前後2輪モデルでは真似できないジェントルで快適な乗り心地を実現している。「ころばないバイク」を目指して生まれたこの安定性こそが、このモデルの最大の魅力といえるだろう。
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