ヤマハの誇るミドルクラスクルーザーの傑作、ドラッグスター400が燃料供給装置にインジェクションを採用。環境問題への対応と、日常使用でのユーティリティを向上させ、訴求力をさらにアップさせてきた。
気になる走りの性能は、変わらず。Vツインエンジンの魅力の一つである鼓動感は、インジェクション化されても健在。リッタークラスと比べてしまえば、鼓動感が物足りないという意見もあるだろうが、400ccという限られたカテゴリーのなかでは屈指の存在だ。
そのパワー特性は、ヒャンヒャンと吹け上がる鋭さや、力づくでマシンを押し出すような力強さはないものの、低回転域から粘り強いトルクを発揮。
足付き性の良さとも相まって、Uターンなどは容易。エントリーユーザーや、小柄な女性オーナーも多いカテゴリーだけに、大きく評価できる。惜しむらくは、低回転時にわずかながらドン付き症状が見られたこと。全体の完成度が高い分、重箱の隅的だが気になってしまった。
とはいえ、車両の完成度はじつに高い。なかでもハンドリングのまとめは、個人的にもっとも気に入っているポイントだ。
一般的にクルーザースタイルのモデルは、長いホイールベースや、重心位置の低さ、寝かされたキャスターアングルなど、その独特のシャシー構成から、良好なハンドリングを成立させることが比較的難しいとされる。その点、このドラッグスターのハンドリングはかなりの高バランスを実現しているのだ。
スポーツモデルのように機敏ではないものの、ニュートラルなハンドリングは非常に好印象。スムーズで自然なコーナリングと、直進安定性のバランスも絶妙で、ガツガツとスポーツするのではなくても、気持ちの良いコーナリングは実現できるのだと、改めて認識させられた。
今回のモデルチェンジは、インジェクション化されたこと以外、大きな変更はない。だが、それでいいのだ。良い物はムリに変える必要はないのだから。
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