猛烈な加速とマッチョなデザインで人気になった初代のVMAX。今回、登場してから20年以上たって生まれ変わることになったわけだけれど、以前からのファンは、新型が出ると聞いても大歓迎ってわけじゃなかった。今や世界一厳しいという日本の騒音規制と排出ガス規制のなかで、初代のワイルドな感じなんて出せないだろうと思っていたからだ。
ところが試乗してみて驚いた。静かで味気ないなんてとんでもない。空ぶかししてみるとズンと迫力ある排気音が響き渡る。低中速ではドコドコという独特の鼓動感があるから普段ストリートを流して走っているだけでも楽しい。昔、多くのライダーをトリコにしたフィーリングが見事に再現されていた。
もちろん猛烈な加速も健在。スロットルを全開にするとタコメーターの針が真ん中にきたあたりで排気音が変化、VMAXは怒濤の加速を開始する。正直な話、新型をなめてかかっていた僕は、パワーバンドに入った瞬間、思わずニーグリップをしてハンドルにしがみついてしまった。
そしてエンジンと同じくらいに驚かされたのがハンドリング。以前のVMAXは、直線番長的な味付けで、コーナリングは苦手だった。しかし、新型はまるっきり逆。見た目からは想像できないほど素晴らしいコーナーリングをする。18インチタイヤやロングホイールベースは、今、主流となっている17インチとは違い、軽快で素直だけれど大きなバイクを操っている感覚をライダーにもたらす。これも新型VMAXの立派な個性。
200万円を越える価格設定だけど、ここまで完成されていて面白いのなら、買い手は納得できるんじゃないかと思う。
しかも充実したサービス体制が整えられ、これまでとは異なる手法で販売されるなど、セールスの面でも従来とは大きく異なっていることもトピック。
そんな新型VMAXは、これからの日本のモーターサイクルのあり方を大きく変える礎となるかもしれない。
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