今年8月末にヤマハが新発売した、アクシスシリーズとしては初の4ストとなるトリートは、通勤ユーザーをメインターゲットとした原付二種スクーターだ。
狙ったのはずばり、市街地での扱いやすさと、経済性。そこでまず、二輪車の新車価格がじわじわと上昇を続ける昨今にあって、トリートはほぼ22万円という税込み価格に設定された。
でも、いくら廉価だからと言って、そのぶん性能が劣っていたのではお話にならない。その点でトリートは、装備も走りも、思いのほかレベルが高い。
まず装備だが、これはシャッターキー、インナーポケット、コンビニフック、シート下トランク、リヤキャリヤとかなり充実。サイドスタンドを標準装備しないことは残念だが、ワイズギアからオプションとして4725円で発売されているから、それほど問題にはならないだろう。
また走行性能は、正直なところマイルドという表現が見合った加速感だが、だからと言って市街地走行でイライラするほどのレベルではない。高速域では意外と伸びもあって、狭い道や渋滞路では安全に、郊外の広い道はそれなりにハイペースで、なんて使い方にマッチする。
いっぽうで車体は、価格や車格を考えればかなり好印象。まず何より、前後10インチホイールを履いていながら、車体の安定感が高い。これにより、さまざまなシチュエーションで安心して走ることができる。ハンドリングそのものも、とてもニュートラルで扱いやすい。
さらに、ブレーキもコントローラブルかつよく効く。このクラスのスクーターが苦手とすることが多い、フロントだけの急制動も問題なし。というより、驚くほどイージーに扱えて、しかもよく止まる。
車体の安定感や制動力というのは、安全につながる部分。これが欠如していては、日常の足として気軽になんて使えない。
驚くほどの速さや豪華装備があるわけではないが、トリートならそっと優しく、僕らの日常生活をアシストしてくれそうだ。
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