V7レーサーは、スタンダードモデルであるV7スペシャルをベースに各部をグレードアップし、よりカフェレーサーらしいライディングポジションやスタイリングが与えられた上級バージョン。昨年発表になった新型V7レーサーは、エンジンを大幅にリファインし足周りも強化、さらにディテールの質感を高めているのが特徴だ。
モトグッツィと言えば、やはりエンジン。シリンダーが車体の横に飛び出した空冷縦置きVツイン+シャフトドライブという独特のレイアウトこそ変わらないが、この新型になって格段にパワフルになった。車体を震わせるような鼓動感は残しつつも、回転は軽やかでより俊敏になっている。なにしろ最高出力は10psも底上げされたのだ。高速道路でやや苦手としていた追い越しも、新型では伸びやかな加速力を生かして楽にこなせるうえ、巡航速度も10km/hはアップしているだろう。
足周りも前後サスペンションの設定が変わったことで“コシ”感が出て、コーナリングもよりスポーティに楽しめるようになった。ブレンボ製のブレーキは従来どおりだが、ホイールリムがアルミ製になり軽量化されたことで効きも向上したように感じる。つまり、エンジンのパワーアップに見合った足周りへとグレードアップされたわけだ。
フロント18インチらしい手応えのあるハンドリングや1発1発の爆発を明瞭に伝えてくるエンジンの存在感、アクセルONで右に傾くトルクリアクションを含めて、とにかく個性的。バイクにノスタルジックな雰囲気と濃厚な味わいを求める人には、うってつけの1台である。
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