革新的デザインを身に纏い93年に登場した初代モンスターは世界的な大ヒットとなり、軽快な操縦性を身上とするネイキッドモデルは各メーカーの指標ともなった。08年よりラインナップに加わった696からは第3世代へと突入し、現行シリーズのフラッグシップとなる1100は09年に登場したのだが、僅か2年足らずで大幅なモデルチェンジを敢行してきた。
伝統の空冷2気筒エンジンは新設計となり遂に100馬力へと到達し、169kgの軽量な車体を弾き飛ばすかのように加速させるその姿はまさにモンスターそのもの。だが、スリッパー機能とショック吸収ダンパーが内蔵された多機能な湿式クラッチと20mm高められたハンドルによって、その扱いに気難しさは微塵も感じない。安全装備にも抜かりはなく、ABSやDTC(ドゥカティトラクションコントロール)など最新の電子デバイスで武装されている。
DTCはライダーのスキルや走行条件に合わせて介入度合を4段階に任意設定できるので、10.5kgmという強烈なトルクを臆することなく路面に叩きつけられるなど、1100EVOになって大きな進化を果たした。
前後オーリンズ製サスペンションと各種カーボンパーツが奢られ、切れ味の鋭い乾式クラッチと相まってスポーツ性に関して高い評価を得ている前モデルの1100Sも、そろそろ価格がこなれる時期。そうなると程度の良い1100Sと、新型の1100EVOが価格でバッティングするはず。どちらを選ぶか、迷うところなのである。
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