新型のムルティストラーダは、これまでよりアドベンチャーツアラーらしくなった。その見た目は、サスストロークが伸び、車高も上げられ、従来型よりも大柄になった印象である。実際、従来型よりも、オフロード指向を強めている。
そのいっぽうで、エンジンはスーパースポーツ「1198」用が基本の水冷DOHC4バルブで、従来の空冷OHC2バルブよりも強力。車体の剛性も向上し、オンロードでのポテンシャルも高められている。
そして、高次元化した総合性能を、誰もがより有効に使いこなすことができるよう、最新の電子制御技術を投入。4種類用意されたエンジンの特性、ABSやトラクションコントロールにくわえ、上級モデルの1200Sでは前後サスペンションのプリロードと伸び圧減衰力を、路面状況や使用環境に合わせて切り換えることが可能になった。
特に1200Sでは、エンジン制御マップに合わせて、サスセッティングも変わる仕組みになっている。
具体的には、“ツーリング”は、最高出力こそ150馬力のフルパワーを発生するも、エンジンの吹け上がりやサスセットはマイルドな方向。これが“スポーツ”になると、エンジンのレスポンスにダイレクト感が生まれ、前後サスも減衰力が高められる。オンロードスポーツ的なフィーリングで、峠道も楽しい。
“エンデューロ”では、エンジン出力が100馬力に抑えられると同時に、サスはリヤのプリロードが高められ、車高が高くなる。エンジンのトルク特性は自然で扱い易く、トラクションコントロールの介入も少なくなるので、オフロードでリヤを流すことも可能だ。また、“アーバン”は、100馬力の出力のまま、リヤのプリロードが最弱となり、足着き性も若干良くなり、市街地でフレンドリーな印象となる。
エンジンは強力でも、これまでになく滑らかで扱いやすいことも特筆モノ。やや大柄なモデルではあるが、使い切ることが楽しくなる新型ムルティなのだ。
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