ストリートトリプルがデザインを一新、シャーシを大幅に見直すとともに、エンジンも従来型をベースに改良が加えられた。日本仕様は排ガス規制などへの対応などから、最高出力を85馬力(従来型は106馬力)に抑えられているのが特徴だ。
跨った瞬間、馴染みやすいと感じる自然なライディングポジションがいい。スタイリングもより現代的に洗練され、ボディラインもシャープに鍛え直された。エンジンをかけると聞き覚えのある独特の3気筒サウンドが耳に響く。澄んだ空気を思わせる音の広がりが実に心地よい。発進もスムーズで、スロットルを徐々に開けていくと、4輪スポーツカーのような官能的なエキゾーストノートを轟かせて加速していく。
従来型を知っている人からすれば最高出力85馬力と聞くと、どうしても物足りなく感じるかもしれないが、実際に乗ると印象はだいぶ変わるはず。もともと超フラットトルクの出力特性を持つトライアンフ3気筒の場合、実用域でもすでに十分なトルクが出ていて、むしろ使い切れるパワー感、スロットルを開け切れる楽しさのほうが勝っている。新型ではスロットルレスポンスも穏やかになり、より扱いやすい。
前後サスも落ち着きが出てしっとりとしたハンドリングになり、フロントの接地感も増している。軽快かつ安定感もあり、ほど良い粘りをともなっている。ブレーキにはオン/オフ切り換えタイプのABSが標準装備され、セーフティマージンが増えたことも嬉しい。これだけの美点を備えつつ90万円を切る価格も大いに魅力。大型バイクビギナーからベテランまで満足できる1台である。
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