「サンダーバードストーム」はトライアンフを代表するメガクルーザー、サンダーバードをよりパワフルにした上位機種だ。
ブラックアウトされた低く長いシルエットに迫力の2灯ヘッドライト。ちょっと“ワル”なイメージがグッとくるストームだが、実際に走らせるとそれが見かけ倒しではないことを悟ることになる。
圧倒されるのはその巨大なトルク感。排気量を1699ccに拡大(スタンダードは1597cc)された。量産市販車最大級の並列2気筒エンジンは、ラフにアクセルを開けると簡単にホイールスピンしてしまうほど。クルーザーの枠に収まらない爆発的な加速力だ。
一方で270度クランク独特の鼓動感も心地よく、高めのギヤではじけるパルスを感じながら走るのが最高に気持ちいい。好き嫌いは別にして、ライバルとなるハーレーのVツインと比べると、リズムが正確で振動も少ない感じだ。
ハンドリングも秀逸。クルーザーにありがちな、低速域での切れ込みがほとんどなく、渋滞路などでもバランスを取りやすい。交差点を曲がるシーンからワインディングの高速コーナーまで、あらゆる速度域でニュートラルな曲がり方をしてくれる。左右へのロールも軽快で、調子に乗りすぎるとすぐにステップを擦ってしまう。見た目によらずスポーティなのだ。
ブレーキもフロントがしっかり効いてくれて、いざとなればABSが巨体を安全に止めてくれるので安心。ハーレーとはひと味もふた味も違う、英国流クルーザーの魅力に満ちたモデルだ。
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