道を選ばずどこまでも走りたい、走りを愛するライダーの中には常にそんなことを考えているはずだ。スーパースポーツがバイクの極限の性能を楽しむバイクだとすれば、オンもオフも両方楽しめるデュアルパーパスは、バイクの楽しみを無限に広げてくれるといえる。
トライアンフが発表した新しいタイガーシリーズは、昨今の世界のニーズをガッチリと掴んだニューカマーだ。エンジンはもちろん同社が得意とする水冷並列3気筒。これまで同社にはスポーツモデル用に675cc、1050ccの2種類が存在したが、新開発の800ccエンジンを採用したのは、扱いやすさと大きすぎない車体、十分な性能をバランスさせるためだ。
車体はツーリングモデルとしての使い勝手を優先させたものだが、新設計のスチールフレームのデザインなどは遊び心を感じさせる部分もあり、他社にはない個性を打ち出しているといえる。
いざ走らせてみても、タイガー800が持つパワーレンジは日本の道路にもかなりフィットする印象だ。そこに3気筒ならではの独特な楽しさがあり、日常的に付き合える車格があるのだから、とにかく乗っていて面白い。ツーリングを目的とした車両にはロングランに耐えうる性能と快適さが求められるが、そこに楽しさが加わればさらに最高だ。
トライアンフのタイガー800は基本性能にプラスしてそうした悦びをも提供する、新しい価値観を生み出した車両といえる。ぜひそのフィーリングを試乗して確かめてほしいものだ。
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