オートバイでは数少ない3気筒ユニットを搭載するトライアンフのストリートトリプルが、フェイスリフトを受けた。おもな変更点はフロントマスクのハイライトとなるヘッドランプまわりと、つや消しパーツが多く採用されたこと。そのほかは若干の小変更にとどまり、乗り味はキープコンセプトに仕上げられている。
その一番の見どころは、デイトナ675譲りの3気筒エンジン。そもそも3気筒エンジンというものは、2気筒のトルクと4気筒の滑らかさを併せ持つエンジンであり、理論的にはそれぞれの良いとこ取りができるといわれている。デイトナ675用をディチューンしたストリートトリプル用3気筒はまさにその定石通りの仕上がりで、低回転域ではトルクフル、中回転域以上では滑らかな回転上昇を魅せる。加えて4気筒よりも幅が狭く軽量と、まったくバイク向きのエンジンといえる。
ハンドリングに関しても、無理をするところがなく、法定内のあらゆる速度域で身体をリーンさせるとバイクが自然に曲がるといった印象。ポジションもコンパクトで、ブレーキも扱い易い。日常域のスピードでは、欠点を見つけることが難しい。さらに、低回転域ではいかにもトルクが出ていけそうな野太いサウンドが、回転が上昇するにつれて高周波に変わってゆくチューニングは、乗る者にライディングファンを感じさせてくれるだろう。
トライアンフの3気筒ユニットを、異端のレイアウトと侮ってはいけない。ストリートトリプルは、さまざまなスキルの、あらゆるライダーにお勧めできる出色のモデルなのである。
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