「ずいぶんエンジンの存在感があるマシンだな」これがサンダーバードを見た第一印象だった。最近流行のパフォーマンスクルーザー系デザインだが、このマシンはライバル達と違って、バーチカルツインのエンジンを搭載していることが特徴。
垂直に立ち上がったシリンダーは、ロー&ロングの車体に搭載されると妙に目立って見える。しかもこのエンジン、デザインはボンネビルの850ccバーチカルツインなどと一緒で、モダンレトロな感じに仕上げられている。それがまた高級感溢れるサンダーバードの車体に良く似合う。言ってみれば、お洒落の達人が、ジャケットなどを着くずしている、そんな印象を受ける。
また、このエンジンは、同社のスクランブラーと同じように270度クランクを採用しているから吹け上がりの感じや排気音はまんまVツイン。良く消音されているので、それほど腹にくるというほどでもないが、低回転で走っている時は心地よい鼓動感を響かせている。
開け始めのレスポンスが穏やかなため意識することは少ないが、低回転からかなりトルクが出ていて、スロットルを大きく開けた時には力強いダッシュを見せる。さらに、レブリミットまで回した時のスムーズな回転上昇も好印象だ。
とはいえ多くの人が心配するのは大きな車体だろう。シートは低いが、エンジン幅もこの手のクルーザーにしては広く、タンクも目の前にドンと置かれている感じ。ハンドルの位置もちょっと遠く感じてUターンは緊張する。が、5分も走れば、どれだけ癖がなく、素直なハンドリングなのか理解できる。
基本的にこのマシンは、余裕のあるトルクでゆったり、堂々と走るのが楽しい。ただ、大きな車体を振り回すようにしてキビキビ走ろうとしても楽しめてしまう。つまり完成度が高く、どう走ってもネガな部分が目立たないのだ。後は大きな車体とバーチカルツインエンジンをどう思うか。そこが良いと考えるなら、迷わず買いだと思う。
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