市街地を移動するだけで、ワクワクして笑顔になってしまう。インディアンの最新作となるチャレンジャーを体験したら、誰だってそうなるんじゃないだろうか。その最大の原因は、歴代Vツイン史上最強の178Nmを発揮する、新設計のOHC4バルブ水冷60度Vツインだ。パワープラスと命名されたこのエンジンの魅力は、ハーレー・ビッグツイン系のようなドコドコした感触でなければ、ホンダ・ゴールドウイングのようなシルキータッチでもない、豪快でジェントルな加速。あえて言うならその感触は、かつてのハーレーが販売したV-RODを思わせるところがあるけれど、鼓動感とトルクはパワープラスが上。ただしチャレンジャーの魅力は、エンジンだけではなかった。
バガースタイルの外観からは想像しづらいけれど、チャレンジャーのハンドリングは上質でスポーティなのだ。と言っても車重は381kg、軸間距離は1670mmもあるので、一般的なスポーツバイクのように峠道をスイスイ走れるわけではないのだが、前後ブレーキ&サスと電子制御がいい仕事をしてくれるから、このバイクはソノ気になったときに結構無理が利くし、コーナー進入時にはナチュラルでわかりやすいセルフステア、立ち上がりでは濃厚なトラクションが堪能できる。もちろん直線区間では、前述した豪快でジェントルな加速が味わえるのだから、乗り手の気分は自然に盛り上がろうというもの。
改めて言うのも気が引けるのだが、このバイクに乗っていると、スポーツライディングの楽しさに、ジャンルや排気量は関係ない・・・という気がしてくるのである。
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