アドベンチャーモデルが持つアクティブな世界観と、コミューターの利便性を融合させたのが、日本では2017年4月に発売が開始されたX-ADV。スクーターに近い車体構成でNC750シリーズ用をベースとしたDCT仕様のパワーユニットを搭載しているが、これまでNC系のスクーター版として販売されてきたインテグラが多くのパーツを他のモデルと共用していたのに対して、X-ADVは外装類から足まわり、ギア比や変速タイミングに至るまで徹底的に専用化。コストパフォーマンスや実用性を重視するNC系とは切り離された、ファンライドモデルに仕上げられている。
外観はスクーターに近く、発進にクラッチ操作がいらないところも同じだが、DCTの特性によりスタートダッシュは非常に俊敏。自動変速の制御は、低めのギアを使うシーンが多い(=高回転をキープする)設定で、なおかつ自動変速のつながり感も非常によい。市街地の移動は通常走行のDモードで十分だが、よりキビキビと走りたければ、3レベルに調整できるSモードも選択できる。
ブロックパターン風のタイヤながら、公道でのスポーティなライディングでは十分なグリップ力で、ワインディングでのハンドリングはとても素直。車重はだいぶあるが、旋回時に重さが気になることもない。
フラットダートでは、発進時にホイールスピンをさせすぎないよう注意してスロットルを開ければ、意外なほどの走破性。スタンディングしづらいフットボード形状なのが残念に思えてくるほど、かなり楽しめる。
NCシリーズよりは価格がだいぶ上だが、その価値は十分ある。
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