このスラリとしたフォルムの『Shモード』は、『SH』シリーズとして1984年からイタリアを中心に欧州で販売されているモデルだ。日本では今年9月にリリースされた。
乗車してみると、ハンドルの高さは比較的高く、手前に位置する。そのため自然と背筋が伸び、アップライトでゆったりとしたライディングポジションになる。構造的な特徴はフロントに16インチ、リアには14イ
ンチという大径のホイールを履いていることだ。これはヨーロッパの旧市街にある石畳や段差の多い道で、頻繁に発進停止を繰り返す、といった道路環境を想定して設計されている。試乗では、道路工事の段差やガソリンスタンドに入るため歩道に乗り上げる時などに路面からの衝撃を吸収してくれる。また、普通ならば身構える必要のある高架橋の上など横風の強い場所でも、特別の配慮はいらず、何ごともなかったように走ることができた。
パワーユニットには、PCXやリード125と同じ、水冷125ccの『eSP』エンジンを搭載しているので、アイドリングストップ機能が付いている。搭載されるコンビブレーキは、後輪ブレーキを握ると前輪にも適切に配分されるので、思ったよりも短い距離で停まることができる。これは、とっさのブレーキでも安定して停止できる安全装置だ。そういった最新の機能に加えて、充分な容量のメットインスペースやバッグホルダー、大型のリアキャリアを装備し荷物の積載も考慮してある。
デザインが楽しめるだけではなく、日常での使い勝手の良さという基本性能もきっちり押さえてあるスクーターだと感じた。
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