「クルーザーと言えばVツインだと相場が決まっていますが、我々は今回あえて並列2気筒で、このカテゴリーに参入します。Vツインモデルとは異なる独自形を提唱できたと自負しております」。CTX700のプロジェクトリーダーである青木柾憲さんは、発表試乗会の席上で、そう切り出した。
確かに、並列2気筒ではクルーザーらしくはない。「そりゃ、独自の魅力を備えてなくては、存在意義も見出せなくなるわな」と、意地悪い見方をしてしまったものの、試乗が進むうちに、青木さんの言ったことの意味を、しっかり納得し始めている自分に気が付いた。
快適なのはもちろんのこと、それはあくまでも自然。一方でコーナリングはスポーティで、それもマシンを操る面白さがある。低重心の車体は取り回しやすく、不等間隔爆発の鼓動感を味わいながら、小柄な身体にもフィットする快適なライディングポジションでクルージングしながらも、ワインディングではしっかり腰が入って、スポーツバイクを楽しんでいる気分なのである。
さらに、セミオートマチックのDCT仕様車は、こうした持ち味を高水準化。ドライブモードにセットしておけば、マニュアルシフト車でのんびり走るときのリズムで自動的にシフトされ、スロットルを戻せば無意識に自分がやってしまうみたいにギアダウンされて、エンブレが効く。さらに、スポーツモードだと、自動的にスポーティに走るときのリズムになっているのである。
クルーザーらしくも、クルーザーの固定観念に囚われない独自形であるというわけだ。
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