伝統の水冷V型2気筒エンジンをトラスフレームに搭載するVTRにハーフカウルバージョンが登場した。低回転を扱いやすく、サスもより快適に見直されたのが特徴だ。
パワーフィールはとにかく穏やかでスムーズ。エンジンは低回転域のレスポンスが向上しているとのことだが、たしかに従来型に比べると極低速域にキレが出てきた感じ。街中を流すような中速域では、Vツインらしい鼓動感を味わえるし、7000回転辺りからはブーンという連続音とともに心地よい上昇感が楽しめる。2つのキャラクターが混在するところが楽しい。
ハンドリングは軽快だが穏やか。フレームがスチールトラス構造のピボットレスということで「カチッ」というより、「ヤワッ」と曲がっていくイメージ。スパンと倒れ込むような鋭さはないが、そこがかえって安心感につながっている。
サスペンションもソフトな乗り心地で、街乗りやツーリングでの快適性を重視した設定のようだが、ことハーフカウル付きのVTR-Fには合っていると思う。
ライポジはSTDと同様、上体が起きたアップライトな姿勢になるが、高速走行時には大型ハーフカウルがほど良く風を受け流してくれるので楽。Y字デザインのヘッドライトも上質で、STD+2万円の価格差でこれだけラグジュアリー感が高まるなら、お得だろう。一点、欲を言えば、ABS付きのタイプ設定があっても良かったかなと思う。
この馴染みやすさは初めてのバイクとしてはもちろん、80年代を懐かしむリターンライダーにも、ぜひおすすめしたい1台だ。
|