ここ数年、激熱のアドベンチャーカテゴリーに注目の1台が加わった。ホンダ伝統のV型4気筒を搭載したVFR800Xである。
ルックスはVFR1200Xの流れを組みながらも、よりスマートで軽快な印象。特にLEDを採用したマスクは、シリーズに共通する「X」が強調された特徴的なものだ。
実車を眼前にするとボリュームを感じるが、1000cc超のアドベンチャーほどの威圧感はない。足着きは168cm 70kgの筆者で、片足は踵まで接地する良好さ。シート高は835mmだが調整で815mmへと20mm下げることが可能だ。
ギアを入れクラッチをミートして走り出すとすぐにV4の鼓動に包まれ、豊かなトルクが車体をグイグイと押し出す。ホンダお得意のハイパーVTECのおかげで低回転域では充分なトルク、高回転域では爽快な加速感が楽しめる。
標準で装備されるホンダセレクタブルトルクコントロールは、滑りやすい路面で、タイヤがスリップした際に燃料を制御し、後輪の駆動力を抑制するシステム。この装備とABSは、雨や未舗装路で車体を安定させ、ライダーに安心感を与えてくれるというわけだ。
並み居るアドベンチャーモデルの中でも800ccというミドルクラスで高回転まで回せるV型4気筒を搭載しているのはVFR800Xのみ。ジャストサイズな車格にトルクコントロールとABSといった安全機能、そしてグリップヒーター、ETCなど旅で便利な機能を装備したこのモデルは、日本メーカーによる、日本の道路事情に合った、日本人のためのアドベンチャーといえる。
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