エンジンやメインフレームだけでなく、各部を共通化した3タイプのボディで形成されるニューミッドコンセプトシリーズ。その第一弾として登場したホンダのNC700Xは、常用域での使いやすさと優れた燃費性能、そして求めやすい価格が追求された大型ミドルクラスのニューモデルだ。
新開発の並列2気筒エンジンは、とにかく低中回転域のトルクを重視した設計。この排気量帯で、2000回転程度から普通に使えてしまうというのはめずらしい。ギア比は、1速の最高速が約60km/h、2速で約90km/hと、かなりショート。それらをバランスさせることで、控えめなパワーながらも十分な加速と、高いギアのままクルージングしても、かったるさを感じない特性となっている。しかも、トルクフルなばかりでなく、フラットな特性なので、かなり扱いやすい。
車体は、徹底して低重心化を追求。前後サスにはコストダウンの匂いがするが、ニュートラルな旋回性には安心感がある。あまりトバさない市街地派やツーリング派のライダーなら、十分に満足できるだろう。メットインスペースを隠し持ち、グラブバーを標準装備するなど、日常の使い勝手も良い。
一般的なスポーツモデルと同じように操ろうとすると、ピークパワー発生直後の6500回転で作動するレブリミッターが気になるが、早めのシフトアップと1つ高いギアを心がければ、存外にスポーティに乗れる。
この性能でこの価格。お買い得感はかなり強いと断言できる。
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