各メーカーが発表する新車の中に『世界戦略車』というフレーズと共に紹介されるモデルがある。これはその名の通り、世界のマーケットを睨んだモデルを指す。日本国内の市場だけを考慮したものだと、排気量や免許制度の違いから国外では受け入れられにくいこともあるが、ハナから世界を見据えて車体を設計すれば、より多くの国で販売ができる。そうした手法で大ヒットを記録しているのがCBR250Rであり、PCXだ。
そしてまた一台、新たな世界戦略車がホンダから登場した。それがディオ110だ。前後に14インチ大径ホイールを履き、今風デザインで新鮮な雰囲気を持つスクーターが加わったことで、ホンダの原付2種はさらに強力なラインナップとなった。
20万円を切る衝撃的な価格で登場したディオ110。その乗り味はPCX同様に上質だ。前後14インチの大径ホイールは、高い速度で段差に進入してしまっても、穏やかに収束してくれるから、街中では安心して走れる。また、空冷ながら静粛性も高いエンジンは、低速からトルクフルでPCX同様にしっとりとしたフィーリングだ。一度味わったら、もう古いスクーターには戻りたくない、そんな心地よさも感じられる。
価格ゆえに各部の装飾は簡素だが、洗練されたデザインで安っぽさは皆無だし、車体性能とのバランスを考えれば、このパッケージングは実に見事だ。もしかすると、PCX以上の大ヒットも十分考えられるニューエイジのスクーターと言えるだろう。
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