V4エンジンを搭載するVFRは、80年代から続くホンダ市販V型エンジンの代名詞だ。当初はスーパースポーツ路線で登場した車両だったが、近年はV4のエンジン特性を生かしたスポーツツアラーとして独自の進化を続けてきた。
今年発表されたVFRは、それまでの800ccエンジンから排気量を1200ccまで拡大し、さらにはDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)という画期的なミッション機構を引っさげて世界デビューを果たした。
新機構であるDCT最大の特徴はクラッチレバー、シフトペダルなしに変速が可能なことにある。左側スイッチボックスにある突起を操作することでギアの上下を選択できるMTモード、そしてスロットル開度や車速を感知して自動的にギアをセレクトしてくれるATモードが搭載されているのだ。
例えばスポーツ走行ならMTで、ツーリングならATと、ステージに合わせて任意の切替が可能だ。しかもその切替を走行中にボタン一つで行えるのだから面白い。さらにATにはノーマルモードとスポーツモードが設定されていて、スポーツを選択すると、高回転まで同じギアをキープしてくれるため、従来の二輪車のようなギアチェンジ操作の必要もなく、スポーツ走行が楽しめてしまうのだ。
単純に考えるとこれはスゴイ。ライダーにとっては変速操作を自分で行うことも楽しみの一つだが、VFRには走りに集中できるという新しい楽しさがある。今後進化していくであろうAT機構には大きな期待を寄せたいところだ。
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