誰もが大型二輪の楽しさを味わえるスタンダードなロードスポーツ、それがVT750Sのコンセプトだ。搭載するパワーユニットは、シャドウ750シリーズ同様のOHC3バルブV型2気筒で、熟成を重ねたタフネスエンジン。それをスチール製ダブルクレードルフレームに搭載し、フロント19/リヤ16インチというホイールサイズで車体をまとめ、落ち着きあるハンドリングを実現している。
車格は軽量コンパクトなスポーツモデルに比べると大柄だが、750ccという排気量を考えれば、人とバイクのバランスはとてもいい。重さも然りで、車両重量は232kgほどあるが、バイクに急かされない安定感ある乗り心地を生み出す要因になっており、そのときの気分に合わせたペースを自分で作ることが、当たり前のようにできる。
では、スポーティな動きが苦手かというとそんなことはない。ネイキッドモデルのようにタイヤのグリップ力を生かしたコーナリングは難しいが、自然なハンドリングと細身のバイアスタイヤが左右の切り替えしの鈍重さを消し、かつワイドハンドルで入力しやすいため、動きに重さを感じることもない。バンク角も確保され、ワインディングを気持ちよく流すレベルではどこも接地しない。スポーツ時の車体バランスは結構高いのだ。
750ccという排気量も絶妙な設定で、とくにスロットルを開けた瞬間グイッと押し出すトルク感は、忙しさなくビッグバイクを味わうのに丁度いい。
カラバリは、写真のグレーメタリック以外にパールホワイトの2種類のみだが、これはベーシックバイクだから極力コストを抑え提供したいという、ホンダの良心の表れなのだろう。価格は、250スクーターとそれほど変わらない約75万円で販売される。
普段の足に気兼ねなく使え、週末のツーリングでは自分のペースで気ままに走れ、峠ではスポーティな走りも楽しめる。オーナーの欲張り心を満たす、まさにうってつけな1台である
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