本来、250ccスクーターは、十分な動力性能と車格を備える日頃のアシとしての利便性が魅力の乗り物だったはず。だが、若者のラグジュアリー指向をうけて、価格はモデルチェンジ毎に高くなっている。
そんな市場にホンダが新しく、送り出したフェイズは、豪華さや快適性よりも、機動性と利便性、さらに低価格を商品価値として開発された。スクーターの原点がしっかり押さえられたモデルである。
基本をフォルツァと共用することでコストダウンを図り、同時に16kgもの軽量化を実現。エンジンの出力もわずかながらアップさせた。また、フレームや車体ディメンジョンにも手を入れ、コンパクト感があるボディとなった。
跨ったときの足着き性は、シート高が高く、それほど良くはない。だが、脚を出しやすいようにシートとステップ形状が工夫されているので、問題にはならないだろう。それよりも、高い着座位置のポジションは、前方視界がいいし、クルーザー風ではなくスポーティに身構えることになり、安全かつ機動的に街なかを駆け抜けるには、こちらのほうが好ましい。
ハンドリングそのものもスポーティで、走りはキビキビとしている。さすがキャスター角や車体の剛性バランスに手が入れられ、軽量化されているだけのことはある。エンジンも快活になっていて、車体の軽さも手伝って、スロットルを開けるとスルスルと加速していく。
とにかく、車格はフォルツァとほぼ同じだというのに、ひとまわりコンパクトになったみたいなのである。しかも、その魅力は走りだけにとどまらない。
まず軽量化によってセンタースタンド掛けが簡単になったことは、万人にうれしいポイント。くわえて収納は、現実的かつ十分。さらに、アグレッシブで個性的なスタイリングが、新しさを感じさせてくれるし、それでいてリーズナブルときている。
つまり、使えて、楽しく、求めやすいスクーター。それがフェイズなのである
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