さんざんバイクを乗り継いできた“マニア”が喜ぶバイクだったり、新聞やピザを配るためのバイクばっかりだったら、この世は窮屈でしかたがない。バイクに限らず、これからの世界が求めているのはさらなる多様性。21世紀に入ってから早十年。バイクが走行性能を追い求める時代じゃないことは、多くの人が肌身で感じていること。いろんな人がいろんなバイクに乗ってこそ、世界は明るく楽しくなるのだ。
とはいえ、乗り物である以上走行性能は大切。しかしホンダのスクーターだから、走る、曲がる、止まる。これがしっかりできるのはもはや疑う余地のない常識か。2ストスクーターを知ってる世代にとってはちょっと物足りないパワーだけど、50cc原付にとっては本来これがちょうどいい味わい。ハンドリングにも不安はないし、前後連動のコンビブレーキも安心して握って止まるうれしさだ。
走行性能や使い勝手は必要十分にして過分にならず、メーカーの特徴をはっきりと出す。そこへ豊富なカラーリングやかわいさを感じるスタイルなど、新たな付加価値で個性をつけられるデザイン手法は、ジョルノだけにとどまらず大型バイクにも広がってほしいものだ。こうしたかたちで、とくに若い女性が「乗りたい」と思うようなバイクはますます貴重な存在だし、ジョルノはこれからのバイクのデザインを大きく変える可能性を秘めている。
その意味でいえば、ジョルノはドゥカティ・モンスター696に通じるものがある。
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