今年4月に発売が開始されたCBR400Rは、新設計の鋼管フレームに、同じく新作の水冷並列2気筒エンジンを搭載した、待望の国内400フルカウルスポーツモデルだ。
DOHC4バルブのエンジンは、現在の厳しい環境規制に適合化した結果、90年代の同クラス機種と比べればやや控えめな46馬力。しかし、パワー不足などまるで感じさせない心地よさと、この馬力だからこその扱いやすさが与えられていた。
特に注目したのは、5000回転前後の中回転域における粘りと、ワイドなパワーバンド。フル加速時に盛り上がりが感じられるのは6500回転からだが、パワーの立ち上がりは急激なモノではなく、レッドゾーンの10000回転付近まで、イージーにその加速を楽しめる。
しかもこのエンジンには、ムキになって高回転を使って飛ばさなくても満足できる、独特なフィーリングがある。1速で約65km/hまで、2速で約100km/hまでという、ややショートなギア比を生かし、積極的にギアチェンジを行いながら、馬力を使い切るスポーツ走行も楽しいが、ある程度ギアを固定して、ワインディングをクルージングすると、また違った心地よさを味わえる。
これと組み合わされる車体は、軽快感があり、また非常に素直にバンキングしてくれる。ニュートラルでわかりやすいハンドリングは、初心者のスポーツバイク入門用にも向き、一方でイージーに走りを楽しみたい上級者にもぴったりだ。
パーツの多くを海外から調達するため、円安に振れた関係で当初の予想より価格は高くなってしまったが、十分にその価値があるモデルだ。
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