
海外のネイキッドは、国産のモデルに比べて個性的なマシンが多い。ここで取り上げる2台は、それぞれ違うアプローチから、走りの性能を追求している。
ドゥカティのストリートファイターは、スーパーバイク系の水冷エンジンを超軽量な車体に搭載。Sモデルでは、トラクションコントロールを装備するなど、スーパースポーツ顔負けの装備を誇る。
エンジンは、かなりワイルドな性格でスロットルを開けた瞬間にドカンと飛び出すし、高回転でのパワーも凄まじい。狭い場所では簡単に全開にすることもできない。ツインの鼓動感、トルク感も強いため、エンジンが自分の存在をいつも主張している感じだ。
ハンドリングは、高速にターゲットを絞っていることもあり、低速では、今ひとつ落ち着かない。元気に走らせようとするなら、速度が出るステージに持ち込む必要がある。
もういっぽうのF800は、ミドルクラス(BMWのなかでは)の軽量な車体を生かして、軽快なスポーツ性を追求したモデル。
並列ツインエンジンは鋭いレスポンスで、スロットルを捻った瞬間、バネが弾けるように元気な吹け上がりかたをする。高回転でのパワーもちょうど日本の峠で使い切れるレベル。
ハンドリングは素直で軽快。ライダーが、つい攻めたくなるような、気持ちの良いバンクの仕方をする。快適で疲れが少ないのもBMWの伝統。普段の使い勝手は、絶対に犠牲にしないのである。とても良くできているが、ストリートファイターのような趣味性というものは薄い。
ビッグネイキッドで最もスパルタン、かつ過激なストリートファイターと、乗りやすさと高いスポーツ性を両立させたF800Rは両極端。マシン作りの方向性が明確なだけに、好き嫌いもハッキリ出るはずだ。