今年からスーパーバイク選手権に参戦しているアプリリアRSV4。シリンダ挟み角65度のV4という新しいエンジンレイアウトを採用したブランニューマシンは、序盤から上位の常連となる活躍を見せている。
その市販モデル、RSV4ファクトリーの試乗会は、RSV4レーサーの活躍ぶりに、改めて納得させられることになった。
見た目にも小さいマシンは、シート高こそ高いものの、ライポジもコンパクトで、何よりスリム。走り出しても、その印象は裏切られることがなく、マシンにもマスが集中した凝縮感がある。
S字コーナーなど左右に切り返していくと、引き起こしが軽快。寝かし込んだときに余韻が残ることもないなど、パラレル4では期待できないハンドリングを実現している。それでいてどこにも尖った印象がなく、姿勢変化はゆったりした印象。乗車位置が高く、背も高い車体の大きなリズムのリーンに合わせて駆っていくことになる。
また、気筒あたり2つのインジェクターを備えるエンジンにも、尖ったところがなく、4000回転ぐらいでスロットルを開けても、リヤにトラクションを発生しつつ、回転がそれなりに着いてくる。そればかりか、そのまま中高回転域にスムーズに繋がる。トルクピークが1万回転付近、レッドが1万3500回転という高回転型だが、高回転域でのパワーよりも、広範囲で発生するトルクが好ましい。これもパラレル4では得られないフィーリングだ。
さらにエンジンは、マップの切り換えによって、標準的なスポーツ、最高出力を抑えたロード、そしてほぼサーキットユースと言って良いトラックの3つのモードを選べる仕掛け。とくにスポーツは、レスポンスをマイルドに抑え、かつ1〜3速ギヤではピークトルクを制御する設定で、じつに扱いやすく、サーキットでも最速であった。
かなりのところレーシングマシン然としていながら、すべてにおいてスムーズなマシン。それがRSV4なのである。
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