カワサキ人気モデルに受け継がれたサイドカムチェーンエンジンの後継モデル

MACHINE HISTORY

カワサキ人気モデルに受け継がれた
サイドカムチェーン
エンジンの後継モデル

直4初のサイドカムチェーン・エンジンという衝撃のデビューで世界中を驚かせて約30年。そのエンジンは、カワサキ水冷ビッグバイクに受け継がれていったのだ。初代ニンジャの魂を今でも引き継ぐ人気・定番バイクをラインナップしてみよう。

衝撃のサイドカムチェーン
30年以上の主力エンジンに

サイドカムチェーン・エンジン

GPZ900Rが搭載した初代左サイドカムチェーンエンジンの透視図。手前が進行方向で、左端にカムチェーントンネルが。908ccで始まったが余力を持たせ以後30年強もラインナップを支えた。

サイドカムチェーン・エンジン

 GPZ900Rのエンジンは、その後の20年にわたり支持され'03年のファイナルエディションでその伝説に幕を下ろした。しかし、そのエンジンはカワサキ'80年代から'16年のZRX1200DAEGの最終販売まで、さまざまなモデルに広がり、同社のリッター&リッターオーバークラスの主力モデルに継承されたのだ。それらは現在の中古車市場の主流ともなっており、ZRXシリーズ、ZZRシリーズなどがその後継にあたる。それだけGPZ900Rのエンジンは先進的な技術が凝縮され時代を先取りしたものだったといえるだろう。GPZ900Rのエンジンを楽しむうえで、初代ニンジャという選択は、その希少性と後期モデルのプレミア価格から考えると、費用や設備、維持など負担はそれなりにかかる。だが、ニンジャを継承し発展したエンジンという系譜を認識したうえでの後継モデルの検討もひとつの考え方だ。ニンジャの血統は後継モデルに受け継がれ、現行モデルではカウル付きスポーツモデル全般が「ニンジャ・ブランド」となっている。'73年Zの登場以来世界最速の奪還を旗印に、カワサキ・スポーツバイクのジャンルとなったニンジャとその後継モデルには、バイクの歴史そのものが受け継がれているともいえるだろう。

908cc
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1989 KAWASAKI GPZ900R(A6)
750クラスの軽量コンパクト
強力パワーの世界戦略車
1989 KAWASAKI GPZ900R(A6)

Zの後継GPZ900R。ストレート吸排気化やコンパクト化を図った2バルブ1ロッカーバルブ駆動のDOHC4バルブ直4エンジン。冷却水が直接スリーブに触れるウェットライナー方式、ラジエーター+オイルクーラーの冷却系など発展性があった。

中古相場価格●55万円~198万円

998cc
  • ・1986 GPZ1000RX /A1-A3
  • ・1988 ZX-10 /B1-B
1986 KAWASAKI GPZ1000RX
900Rを拡大しリッター化を達成
1986 KAWASAKI GPZ1000RX

GPZ900Rの正統後継がGPZ1000RX(北米名Ninja1000RX)。左サイドカムチェーンエンジンは900Rからボアを2mm拡大、ストロークも3mm伸ばして998ccとし、キャブレターも2mm口径を拡大したCVK36に換装して125psを発揮。フレームは角型鋼管ペリメタータイプ(エンジンを囲うような形状をカワサキはこう呼ぶ)を採用。

中古相場価格●27万円~40万円

↓

30年以上も主力機種のエンジンに
カワサキ・ニンジャ水冷エンジンの系譜

↓
1052cc
  • ・1990 ZZR1100/ZX-11 C-D9
  • ・1995 GPZ1100/E・F
  • ・1997 ZRX1100-II/D1-C4
1990 KAWASAKI ZZR1100
オーバーリッターの時代へ
フラッグシップの座を確立
1990 KAWASAKI ZZR1100

'80年代の最速旗艦を実現したZZR1100。エンジンはZX-10の1バルブ1ロッカーやダウンドラフトを引き継ぎ、ボアを拡大しリッターオーバー化。カウル前面左に設けられたダクトからエアボックスに新気を導入/加圧するラムエア機構も併用し不動の座を築いた。

中古相場価格●22.4万円~32.17万円

1164cc
  • ・2001 ZRX1200R/A1-A8F
  • ・2002 ZZR1200/C1
  • ・2009 ZRX1200DAEG  D9F・D9FA-DGFB(FE)
2002 KAWASAKI ZZR1200
バイク界の推移に柔軟に
対応できた希なエンジン
2002 KAWASAKI ZZR1200

排気量の拡大と、メッキシリンダー化により、耐久性の向上と大排気量化に対する放熱性を高めた。これによりトルクが豊かになり低中速域でも楽しめるエンジンになったのだ。旗艦最速はZX-12Rに譲り、スポーツツアラー路線に移行する。

中古相場価格●34.97万円~77.22万円

GPZ900Rの魂を引き継いだ
最新ニンジャラインナップ

世界中を驚かせ、ファンを20年にわたり熱狂させたGPZ900Rニンジャ。その魂は2018年の平成最後の今、カワサキのスポーツモデルのすべてに受け継がれている。当時の世界最速の一台、その誇りはリッタークラスからミドルクラス、普通免許クラスにわたり、カワサキのラインナップの中心となっているのだ。ここではそのニンジャのスーパースポーツの魂を受け継ぐ、最新ラインナップをお届けする。

KAWASAKI Ninja 400
共通のプラットフォームで注目の400
KAWASAKI Ninja 400

'18年2月発売。'18年モデルでのフルモデルチェンジが'17年秋の東京モーターショーでニンジャ250と同時に発表され、400/250と共通のプラットフォームを持つ兄弟モデルとなった。ABSが標準装備となり、ヘッドライトはLEDとなった。

新車価格●71万6040円
中古相場価格●40.32万円~79.5万円

KAWASAKI Ninja 1000

最新技術で楽しめる
ツーリング&SSモデル

KAWASAKI Ninja 1000

'11年にZ1000をベースに登場。'16年に全面刷新。3代目は電子制御が進みKCMF(カワサキ・コーナリング・マネジメント・ファンクション)KTRC(トラクション制御、ウイリー制御)KIBS( ピッチング制御、旋回中のブレーキ制御)など最新技術が満載。

新車価格●127万4400円
中古相場価格●70.1万円~145.4万円

KAWASAKI Ninja H2-SX/SE

スーパーチャージャー搭載
最速メガ・スポーツツアラー

KAWASAKI Ninja H2-SX/SE

ニンジャH2のツアラー版としてSXと上位モデルSEが発売。LEDコーナリングライト、クラッチレバー操作が不要なカワサキクイックシフター(KQS)、大型スクリーン、DCソケット、グリップヒーターなどを装備したツアラー仕様だ。

新車価格●237万6000円
中古相場価格●228.2万円~245万円

KAWASAKI Ninja 650

欧州で支持された新ミドル
気軽に乗れるマルチスポーツ

KAWASAKI Ninja 650

海外向けモデルで'12年に登場し'16年まで生産。'17年のモデルチェンジで日本向けのラインナップが登場。フレームも新しいトレリスタイプで搭載されるエンジンは、649cc水冷並列2気筒DOHC4バルブユニット。ETC車載器を標準搭載している。

新車価格●80万7840円
中古相場価格●44.91万円~85万円

KAWASAKI Ninja ZX-6R

SSモデルの入門にお薦め
公道走行重視のSSモデル

KAWASAKI Ninja ZX-6R

'02年初代ZX-6Rが登場。公道走行重視は変わらずフルモデルチェンジを重ね進化を続けた。'19年モデルも秋に発表されニンジャ250/400と共通のデザインとなり、クイックシフター、ハザードランプが追加装備に。

中古相場価格●40.45万円~154.4万円

KAWASAKI Ninja 250

250クラスの人気をけん引
ジャンルを代表するNinja

KAWASAKI Ninja 250

Ninja250Rからフルモデルチェンジ。国内では'13年2月に発売。予約が殺到し3日で日本の年間販売計画台数を超えてしまう人気に。3代目は'17年東京モーターショーで発表。完全新設計エンジン、フレームの刷新によるNinja400との共通化を実施。

新車価格●32万9640円
中古相場価格●30.8万円~73.36万円

オススメ中古車はコレ!!

KAWASAKI Ninja 250R

気軽な価格と乗りやすさ
新250クラスの人気者

KAWASAKI Ninja 250R

'07年パリショーで発表。新250cc世界戦略車として翌年発売。税込み49万8千円という価格が人気を呼び、手軽なスーパースポーツモデルとして大人気に。新車の価格も抑えられていたため、流通台数・価格帯とも豊富で初心者にお薦めだ。

中古相場価格●22.3万円~44.3万円

カウル付きスポーツに拡大
新カワサキ・ニンジャ時代

 かつてGPZ900Rからはじまったニンジャの伝説と人気により、現在ではカワサキのカウル付きスポーツモデル全般を指すブランドとなっているニンジャ。逆にネイキッドバイク全般につけられたのが“Z”の冠だ。
 オーバーリッタークラスへの強い憧れ、最高速やスタイルなどで機種の魅力が先行した'80~'90年代を経た現在では、機種への志向も大きく変わり、現在では自分にあった排気量とタイプを選ぶという時代にバイクもライダーもなった。そんな選択の節目にある今、求められるのは、各ジャンルでのラインナップの充実なのだ。ニンジャというブランドは、スポーツバイク全般の入り口の愛称となり、その役割が変わったのだ。ニンジャは、時代によってその姿を変化させてきた、まさに忍者だったのだ。

KAWASAKI Ninja 125
KAWASAKI Ninja 125

シリーズの入門用として125ccがフルサイズでデビューに。鋼管トレリスフレームを採用。日本での発売・価格などは未定。

※GPZ900R/GPZ750Rの表記は、モデル・時期によりzとZがありますが、本文ではタイトルを除き、Zと記載しております。

※中古車相場価格はグーバイク調べ(2018年11月)。

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