'84~'03 20年に及ぶGPZ900R ヒストリー&モデルラインナップ

'84~'03 20年に及ぶGPZ900R
ヒストリー&
モデルラインナップ

GPZ900R

20年にわたり人気を誇ったGPZ900Rニンジャ。モデルチェンジは15 回(A1~A16)にわたる。しかし、そのモデルチェンジに大きな変更は少なく、デビュー当時の技術を維持・継承しながら販売が続いた。ここではその代表的なラインナップを紹介しつつ、当時の変更点を中心にまとめてお届けする。

GPZ900R A1-A16まで 2度のビッグマイナーチェンジ

1985

A1-A6  カラーリング変更

初のライムグリーンが登場
カラーリング変更が中心に
KAWASAKI GPZ900R(A2)

'85年型A2では初のライムグリーンがGPライダー、コーク・バリントンの出身国、南アフリカ仕様に設定。A3では車体のZが大文字へ。A5ではフロントのφ280mmディスクのホール数が50→80個に。A6では冷却水をキャブ周囲に回す方式のキャブヒーターを採用。

KAWASAKI GPZ900R(A2)
↓
 1990

A7-A11  2代目はタイヤサイズ変更

KAWASAKI GPZ900R(A7)
↓
初のメジャーチェンジでフロント17インチ化
KAWASAKI GPZ900R(A7)

'90年A7で初のメジャーチェンジ。ホイールサイズが変更となりF17インチ化/リヤ幅拡大しデザインも変則6→3本スポークに。同時にFフォークもインナーチューブ径、ADS/AVDS廃止など、細かい変更がいくつも実施された。以降A11にわたりカラーリング変更となった。

中古相場価格●53.1万円~238.16万円

1991
KAWASAKI GPZ900R(A8)
国内750cc超モデル解禁
ニンジャ日本仕様正式販売
KAWASAKI GPZ900R(A8)

'73年からのオーバー750cc国内自主規制が解除され、初の国内向けとして'91年型GPZ900R(A8)が登場。キャブセッティング/吸気ダクト/マフラー構造変更で海外版から22ps下げた86psとなり、2次減速比も17/48→17/47にロング化。A8ではキャブヒーターを廃している。

中古相場価格●35万円~385万円

1999

A12-A16  3代目はリヤサス変更

走りの性能を高め最後のモデルチェンジ
KAWASAKI GPZ900R(A12)

2度目のモデルチェンジとなるA12。タイヤのラジアル化、フォークガードの追加。リヤショックはガス封入式に変更。初期荷重と伸び側減衰力が調整可能に。リンクアームを小変更し、下2カ所にグリスニップルを新設。規制強化もありA12で国内仕様は終了に。

中古相場価格●59.99万円~179.9万円

KAWASAKI GPZ900R(A12)
↓
2003
20年の歴史を締めくくる
ファイナルも初期カラー

初代登場から20年の節目となったA16は初期型のレッド×グレー、ブルー×シルバーの2色をA11のカラーリングパターンで施し、GPZ900R最終モデルとなった。排出ガスや騒音の規制に対し、従前のパフォーマンスのまま対応することが困難となった。

KAWASAKI GPZ900R(A16)
KAWASAKI GPZ900R(A16)
KAWASAKI GPZ900R(A16)
累計8万台以上が生産され
生産終了から高騰した新車

‘03年の最終モデルA16にはプレミア価格がついた。登場から20年大きな変更がないまま人気を維持した機種はかつて聞いたことがない。中古車でも今なお根強い人気に。

中古相場価格●96.97万円~265.12万円

20年に15回変更されたが仕様変更はわずか2回のみ

 '84年に1100のパワーに750の軽さを合わせた新・世界基準として鮮烈なデビューを飾ったGPZ900R。最高速度253km/hやSSO→400m加速10・550秒という当時超越のデータを持ちつつもその速度だけではなく、ストレート吸排気で小型効率化した左サイドカムチェーンのエンジン、空気抵抗係数=CD値0・33という好数値、これらの内容はまさにZを超えるワールドクラスのトップパフォーマンスだった。その人気は世界を席巻し、20 年もの間続いた。そんな世界基準のニンジャは、大きなモデルチェンジが実施されず、基本構造が変わらないまま数度のモデルチェンジのみに終わった。それほど基本コンセプト、スタイル、スペックが支持されていたのだ。その結果、ファースト・ニンジャは独自の路線を歩んだ。そう、どこにも属さないオンリーワンの「GPZ900Rニンジャ」という孤高のモデルとなり、現在では、カワサキ・カウル付きバイクのブランドという発展へ貢献したのだ。その20年の間に世界基準はさらに別のステージで熾烈を極めていった。

GPZ900R
  

ボア×ストロークを変更して3年を駆けたナナハンニンジャ

903ccのZ1と746ccのZ2の関係同様に、908ccのGPZ900Rに対しては749ccの弟分たるGPZ750Rがあった。同じ'84年デビュー。激戦750クラスでは3年のみの展開となった。

1984 GPZ750R(G1)

中古相場価格●35万円~51.8万円

1984 GPZ750R(G1)

中古相場価格●35万円~51.8万円

1984 GPZ750R(G1)

国内自主規制もありナナハンも登場。クラス初の水冷インライン4となったGPZ750R。900Rの72.5×55mmからボア・ストロークとも変えた70×48.6mmとし、キャブをCVK34→CVK32とした以外は各部サイズやカラーも900R同様。名称変更も排気量のみ。

1985 GPZ750R(G2)
1985 GPZ750R(G2)

'85年型750R(ZX750-G2)はカラーのみの変更。出力は国内では自主規制上限の77ps、フルパワーが92ps。国内でも3月にライムグリーンの限定車300台、6月にブラックバージョンが限定300台で、それぞれ販売された。

中古相場価格●39.63万円~59.8万円

1986 GPZ750R(G3)
1986 GPZ750R(G3)

750Rの最終'86年型は、900R・A3同様にZが大きくなったGPZ750Rになり、カウルサイドにもNinjaロゴが貼られるようになった。φ38mmフォークとキャリパーの色もA3同様に変わった後、GPX750Rに750スポーツの座を譲る。

中古相場価格●47万円

750Rのカタログ

ADVSのフォークオイルの圧側減衰力を変える仕組みの解説、リヤのユニトラックの解説を750Rのカタログから。“アメリカで発表されたGPZ900Rはその比類ないパワー、想像を絶するパフォーマンスで「Ninja」のニックネームを与えられた”と記載されている。

※GPZ900R/GPZ750Rの表記は、モデル・時期によりzとZがありますが、本文ではタイトルを除き、Zと記載しております。

※中古車相場価格はグーバイク調べ(2018年11月)。

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