ミドルクラスのクルーザーは80年代の後半、ホンダのスティードが登場して大ブレーク。それが落ち着きかけた90年代の半ばにヤマハがドラッグスターを登場させ、追従するようにシャドウが97年にデビュー。確実にファンを増やしつつ、このカテゴリーそのものを育ててきた。さらに、インジェクション化することで共に排ガス規制をクリア。今やこの2台が二大巨頭となっているのもそういった背景がある。
Vツインを搭載する2台に試乗してみると、どちらもトルクが太いからストリートを走っていても乗りやすい。ロー&ロングという極端なディメンションにも関わらずハンドリングも素直で低速走行やUターンも楽。クルーザーとしてというより、バイクとしてのレベルが一昔前から数ランク上がっている感じを受ける。
僕自身この手のマシンに関してはハーレーの二番煎じ的なイメージが強く、どちらかと言えば否定的だった。しかし今回2台に乗って見事に先入観を崩された感じ。限られた排気量で低中速のトルクを引き出しているし、排ガス・騒音規制をクリアしながら素晴らしいツインのフィーリングを感じさせてくれる。一昔前からは信じられない程の進化だった。
実用域のトルクと堂々とした安定感のシャドウクラシックに対し、ビッグマシン的な安定感を持ちながらもキビキビ走る事ができるドラッグスターという感じ。しかし、どちらも乗ってみて面白い事に変わりない。クルーザーという特殊なカテゴリーというよりは、最近のライダーの趣向や道路事情にマッチしたロードスポーツといっても良いような2台である。
【テスター/後藤 武】

- 整備いらずのシャフト
- シャフトドライブは整備の必要がなく、ホイール汚れの心配もない。シャフトの癖も無く、スロットルオン・オフでの挙動もまったく気にならない。

- 魅力的な排気音
- 400ccらしからぬ低回転からの太いトルクと心地良い排気音はシャドウの魅力。ゆったりとストリートを走る事ができる。

- 味わいのある空冷
Vツイン
- SOHC空冷Vツインエンジンは心地良い排気音と鼓動感を奏でる。実用域のトルクも十分で、走る楽しさも感じさせてくれる。

- 質感の高さは一級品
- タンク上に配置されたメーターなどクルーザー的なデザインに加え、各部に施されたメッキなどの仕上げも素晴らしい。所有感も充たしてくれる。
発売された2008年以降大きな変更の無いシャドウクラシック。タマ数は少ないが、低走行距離でノーマルスタイルのモデルが多くを占める。カスタムベースには最適と言える。一方歴史の長いドラッグスターは圧倒的なタマ数を誇る。とことんカスタムするなら、2008年以前のキャブレター仕様がお薦めだ。
- HONDA STEED
- 中古相場/23.9万円
- シャドウの前身がスティード。このジャンルを定着させた超人気モデルだった。カスタムされたマシンが安く店頭に並んでいることも多く、趣味と予算が合えば買い得だ。