サーキットではなく、ストリートで面白いバイクを作る、これが現行CB1300SFのコンセプトであった。そんなん当たり前だろ、と思うかもしれないが、当時乗りやすさや高性能をうたったマシンは多くあっても、街を楽しく走るなんてことを前面に出したのはこれが初めてだったのである。
当然だがライダー達が最初に走るのは街である。そこを専用に作ってあるものだから誰もがその乗りやすさに感動。CBは爆発的なヒットになったのだが、これを見て面白くないのはカワサキだった。ZRX1200もどんどん改良して乗りやすくなっていたにも関わらず、CBに根こそぎユーザーをさらわれた感じだったのだ。
そこでZRX1200をベースにし、ストリートでのスポーツ性を追求したという触れ込みで登場したのがダエグだった。開発のコンセプトはもちろんだが、足周りのセッティング、ブレーキの味付け、エンジン特性などCB以上に街を意識している。後発だけに高性能なのだが、そこはさすが本家CBも一歩も譲らず性能は拮抗した。敢えて言うのであれば、ビギナーからエキスパートまで乗りやすいハンドリングと完成度のCB、荒々しい味付けやカワサキらしいスタイルのダエグというように、どちらを選ぶかはライダーの好み次第。
リッターネイキッドは他メーカーからもラインナップされているが、ことストリートでのスポーツ性ということになると、この2モデルが飛び抜けている。それは日本のストリートと日本のライダーのことを考えて生まれたマシンだからなのである。
【テスター/後藤 武】

- 大型の収納スペース
- CB1300の特徴の一つがその使い勝手の良さ。シートの下にはロードスポーツとしては異例な、約12Lもの大型収納スペースがある。

- 静かでエキサイティング
- 消音と排気音を追求したマフラー。アフターマーケット製マフラーの必要性を感じないというライダーも多かった。

- 伝統を受け継ぐカウル
- 80年代のローソンレプリカから特徴だったビキニカウル。デザインだけでなく高速での防風効果を高めている。

- 市販レーサーの雰囲気
- 82年発売のZ1000Rの市販レーサー、KZ1000S1を彷彿とさせるスイングアーム。チェーン調整は剛性の高いエキセントリックタイプを採用する。
ZRX1200DAEGは、2012年モデルまでカラーチェンジが行われたのみで車両スペック的には変わっていない。狙い目は70万円前半から見つけることができる2009年モデルだ。CB1300は1998年に登場。2003年にインジェクション化し大幅なモデルチェンジが敢行された。足付きを重視するなら2009年以降がお薦め。
- SUZUKI Bandit1200S
- 中古相場/47.2万円
- 価格と性能のバランスによりドイツで絶大な人気を誇ったネイキッドがスズキのバンディット。CBやダエグが日本に特化したというなら、こちらはヨーロッパ規格。別な意味で魅力的なマシンである。