デュアルパーパスあるいはクロスオーバーと言われるジャンルは、スポーティで快適なオンロード性能、悪路もいなせる走破性を兼ね備えたモデル。その中でも程良い車格とパワーで使い勝手に優れるミドルクラスが注目されている。
Vストローム650は欧州では「アルペンマスター」の異名を持つ人気モデルで、国産では珍しいVツインのパワフルな鼓動感と、剛性感の高いアルミツインスパーフレームによるシュアなハンドリング、そして足の長い前後サスとフロント19インチによる高い走破性が魅力。今年、リニューアルされた新型は外装デザインがよりスポーティに洗練され、6kgの軽量化とともにマスの集中化も進み、スポーティな味付けとなった。
一方のNC700X DCTは、ホンダの新世代モーターサイクルを標榜するニューミッドコンセプトの中の1台。4輪のエンジンに着想を得たという低回転&低速トルク型の並列2気筒エンジンは、リッター40kmを超える超低燃費を実現。これにより、小さな燃料タンクをシート下に収めて、従来の燃料タンクの場所にラゲッジスペースを設けるなど斬新なアイデアが詰まったモデル。中でもDCT(有段式自動変速機)はオートマでの快適な走りを実現し、通常のバイクとはひと味違ったアプローチが魅力となっている。
ともにABSが装備され、安全で快適な長旅を約束してくれるが、性格としてはVストロームがタフなロングツアラー的とすると、NC700Xはより軽快で気軽に街乗りもできるタイプ。DCTはちょっと、という人には通常のミッション仕様をおすすめしたい。
【テスター/佐川健太郎】

- 余裕のメットイン
スペースが出現
- 燃料タンクをリアシート下に配置したことで、フルフェイスヘルメットが収納可能な容量21Lのラゲッジスペースを確保。開閉はメインキーで行う。

- コントローラブルな
Fブレーキ
- 制動力と放熱性に優れるペタル形状のブレーキディスクを用い、シングルディスクながら効きは十分。前後連動のコンバインドABSで安心感も高い。

- Vツインは
低中速トルクをアップ
- DOHC90度Vツイン645ccエンジンはカムの変更により低中速トルクをアップ。Vツインらしい鼓動感と高回転域での伸びのあるパワーが特徴だ。

- 3段階調整スクリーンで
より快適に
- 従来モデルより上端を30mm後退させることで整流効果を向上したウインドスクリーン。高さは3段階で調整でき、快適な走行をサポート。
今年モデルチェンジを受けたVストロームとニューモデルのNC700Xは、ともに中古車は品薄な状態。特にNC700Xの中古車を見つけるのは極めて難しい。Vストロームは探せばわずかながら中古車が存在する。ただし、それらもモデルチェンジする前の車両がほとんど。中古車を狙うには少し時間が掛かりそうだ。
- BMW F650GS
- 中古相場/54.2万円
- 2000年登場の初代F650GSはロータックス製単気筒を搭載する軽量コンパクトなデュアルパーパスモデル。スポークホイールを採用し本格的なオフ走行も可能だ。現行の並列2気筒とは別モデル。