2025/02/02 16:40:16 更新【車検整備】ドゥカティMonster400 車検整備、バッテリー交換、オイル交換、クラッチプッシュロッドOリング交換、ブレーキ&クラッチフルード交換、バイパスエアスクリュー洗浄ドゥカティ モンスター400
車検のためにドゥカティ400ieの入庫です。

バッテリーあがりの為、レッカー車で搬入されてきました。 ブースターケーブルを繋いでエンジンを始動させて暖気。 その後、まずはオイル交換を行います。 使用するのはミッツ・ハー公式推奨エンジンオイルのルブロス。 コストパフォーマンスに優れたVHVI配合のシンセティックブレンドオイル Moto-ST 10W-40を使用します。 オイルフィルターも同時に交換しましょう。

古いオイルを抜きながら各部をチェックします。 ドライブチェーンは調整して洗浄、注油。 各可動部はグリスアップ。 古く汚れた油分は洗い流し、新たに注油していきます。 ブレーキフルード、クラッチフルードも交換。 そのクラッチですが、クラッチレリーズ部分からオイル滲みを発見。 レリーズ自体からオイルが漏れているのではなく、レリーズが押すプッシュロッド…クラッチプッシュロッドからオイルが滲んできています。

この車両は油圧クラッチ。 クラッチレバーを握るとクラッチレリーズが油圧で作動し、クラッチプッシュロッドを押し込みます。 プッシュロッドは車体左側からエンジンを貫き、右側にあるクラッチプレートを作動させる仕組みです。 プッシュロッドを伝ってエンジンオイルが漏れないようにシール機能を担うOリングがあるのですが、これが経年劣化で摩耗・硬化するとシール機能が低下しオイルが滲んでくるということです。

ちょっとピンボケですが、それでもわかるほど古いOリングはやせ細っているのがわかると思います。

消耗品ですから、この部分からオイル滲みが見られた場合でも故障だと慌てる必要はありません。 Oリングを交換すればオイル滲みは止まります。

オイル交換を終えた後はドライブチェーンの洗浄、注油。 ブレーキフルードとクラッチフルードの交換。 エアフィルターの清掃。 スパークプラグの交換を行います。 排ガス濃度が濃かったのでプラグをチェック。 かなり黒くなっています。 やっぱり混合気が濃いんですね。 プラグは前回の交換から約5000キロ使用していたので新品に交換します。

この世代のMonsterはインジェクションモデルですが、インジェクターの手前にエアスクリューがあります。 ここでガスの濃度を調整可能なのですが、ここの部分が詰まりだすとアイドリングが不安定になったり、加速時に行き付をしたりと不調になります。 排ガス濃度が濃くなっているものここが詰まり気味だったためだと思います。 クリーナーで洗浄するとどんどん汚れが落ちてきました。

スクリュー自体も洗浄。 すっかり不安定だったアイドリングも安定し、吹け上がりも気持ち良く軽やかになりました。

バッテリーですが充電したところ始動できるレベルには回復しましたがCCA値も低下しており、また前回の交換から2年以上経過していることもあり新品に交換します。 バッテリーは2年以内であればバッテリーをあげてしまっても、充電して回復すれば継続使用して良いと思います。 逆に2年以上使用したものがバッテリーあがりを起こしてしまったら、それはもう交換した方が良いでしょう。 使い方によりますが、安心して使えるのは2年です。 常に良好なコンディションで使用していればそれ以上使えますが、バッテリーをあげて閉まったら2年を目安に交換しましょう。 鉛バッテリーは使用していないと僅かずつ放電していきます。 自己放電です。 バッテリー単体でも自己放電するのですが、車両に搭載していると停車中には暗電流といって電気が徐々に流れ出ていきます。 オートバイに時計がついてたり、セキュリティ装置がついていたり。 昔のオートバイに比べると停車中も電気を消費しています。 インジェクションモデルだとコンピューターの待機電力も必要です。

鉛バッテリーは放電するとサルフェーションという絶縁物質が生成されます。 このサルフェーションは柔らかい物質で、充電されることにより電解液に溶け込んでくれますが、放電されたままサルフェーションが固着し結晶化すると電解液には戻ならくなります。 電気を取り出すための電極版周囲に絶縁物質であるサルフェーションに覆われてしまうと内部抵抗が大きくなり、放充電がしにくくなりバッテリーの容量が低下しパワーダウンします。 こうしたことからよく「一度バッテリーあがりを起こしてしまうと本来の性能は発揮できない」と言われることがあるのですが、正確にはバッテリーあがりを「長時間放置」してしまうと本来の性能は発揮できないということです。 バッテリーがあがってもすぐに充電すれば回復します。 ただ、これを繰り返すと徐々に生成されたサルフェーションは高質化し、バッテリーは寿命を迎えることになります。 あまり乗らない方は適宜バッテリーの補充電をしましょう。 十分な充電状態を維持し続けられればバッテリーの寿命は延びます。

交換するバッテリーは元から使用していたBSバッテリー。 欧州のブランドで、近年ではレースのサポートにも積極的。 2021年MotoGPチャンピオンのファビオ・クアルタラロ選手のスポンサーにもなっています。 彼のヘルメットにはBSバッテリーのロゴがありますね。 またイタリアのスポーツバイクメーカーMVアグスタの車両の純正品として採用されています。 信頼性も高く、それでいて比較的価格の安いコスパの良いバッテリーです。 ミッツ・ハーでも納車前点検整備で使用することがあります。 新しいバッテリーでも装着前に専用テスターで点検を実施。 もちろんメーカーも出荷前に点検しているとは思いますが、新しい製品はごく僅かとはいえ不良品が発生する可能性があります。 また、バッテリー単体で問題がなくてもオートバイ側の充電系統に問題が発生していることもありますので、必ず新しいバッテリーを搭載した後に充電状況等もチェックします。

その他、細かな部分を調整、点検、整備してから下回りを奇麗に洗浄。 後日、車検を合格させてから車両全体を洗車して作業完了です。 ミッツ・ハーでは車検時には必要な点検と調整を実施します。 ヘッドライトの光軸調整や排ガス濃度の調整、ドライブチェーンの洗浄や注油等も含まれます。 下回りの油分や汚れを洗い流し、車検終了後には車両全体を洗車の上、簡易的ではありますがガラスコーティングを施工します。 法定費用は重量税が3,800円〜(年式による) 検査印紙と証紙代が1,800円 自賠責保険料が8,760円(24か月) 車検点検整備代が11,000円 車検手続き代行費用は22,000円 合計 47,360円でピカピカになってお返しできます。 今回のように車検時にオイル交換やバッテリー交換、その他部品交換を行う場合はそれらの費用が追加になりますが、日常的に整備してあれば50,000円でお釣りがきます。 車検は予約制となっており、最短で2泊3日のお預かり。 基本は1週間のお預りで、行き帰りの足代わりに無償で代車をお貸しします。 どうぞお気軽にご用命ください。