2025/05/31 17:22:55 更新【原付オイル交換】スズキ レッツ4 エンジンオイル交換スズキ レッツ4
原付スクーター スズキレッツ4にオイル交換でご入庫いただきました。 半年毎にオイル交換を実施されている車両で、前回のオイル交換から半年で約700キロ走行しています。

近距離短時間走行で距離が伸びませんが半年毎にオイル交換を実施しています。 通常、オイルフィルターも備えずオイル容量の少ない125cc以下の原付車両は1500〜2000キロ毎、または半年以内のオイル交換が必要です。 最近は指定オイルは低粘度で、交換も5000キロ毎が推奨という新車もありますが、長く乗りたいなら絶対に5000キロ無交換ではダメです! 低粘度オイルで5000キロ毎の交換推奨って、メーカーの設定って長持ちさせるつもりはないのかな…と感じることもあります。 オイルの性能が良くなったので低粘度でも大丈夫だし、交換サイクルも伸びたという意見もあると思いますが、本当にそうなのでしょうか? このクラスで指定されるメーカーの純正オイルはベースオイルを含めて大きな性能の変化はありません。 性能は確かによくなってきていますが、部分合成油(鉱物ベースオイル)ですし劇的に進化しているとうわけではありません。 推奨オイルが低粘度化しているのはオイルの性能が向上したのではなく、燃費向上のためだと思います。

新車にとって1キロでも燃費が良くなるというのはセールス上、とても重要なのです。 多少燃費が悪くなってもエンジンの保護性能に優れる高粘度オイルを使いたいのがエンジニア心理。 しかし販売部門にしてみれば少しでも燃費を良くしてくれと。 カタログに「燃費〇〇キロ!」と表記された際、少しでも良い数値を表記したいのです。 これはオートバイに限らず、自動車メーカーも同じこと。 最近のハイブリッド車の指定オイル0W-20なんて驚くほどサラサラの柔らかいオイルです。 確かにハイブリッドは暖気もあまりできず、突然エンジンを動かすことになりますから低粘度が良いのでしょう。 ただ、それにしてもこんなにサラサラなオイルで油膜をしっかり形成できるのかと心配になります。 多少燃費が悪くなっても可能なら少し粘度の高いオイルを使いたいですね。 ベースが同じオイルなら。粘度が高くなるほど強い油膜が形成できます。

低走行短時間の走行を繰り返す小排気量車はエンジンがしっかりとあたたまりません。 また、原付スクーターは実用車として使われることが多く、暖気もあまりしてもらえないことが多いと思います。 パワーも小さく非力なため、エンジン始動直後でもアクセルを大きくあけて高回転で走り出すことも多いでしょう。 最近のスクーターはインジェクションモデル。 燃料噴射装置が備わっています。 エンジンが冷えているときはオートチョークが作動するわけですが、このときは多めの燃料がエンジンに噴射されています。 この状態でアクセルを大きく開けて走るとどうなるのか? ガソリンの噴射量が多過ぎるのです。 キャブレター車だとチョークを作動させ、ガソリン濃度が高くなっているときにアクセルを大きく開けて吹かすとプラグがガソリンを浴びてしまい失火します。 いわゆる「カブる」んです。 ところがインジェクションだとカブりそうになると排ガス濃度を計測するセンサーが稼働して調整してくれます。 なのでカブり気味になるものの、エンジンが止まることは稀です。
これを繰り返すと燃え切らないガソリンがエンジン内部に溜まります。 どこに溜まるかといえばオイルに混入するのです。 オートチョークが作動している間は走行開始後も速度を控えめに(アクセル開度を控えめに)してエンジンをあたためましょう。 オートチョークの作動が終了し、エンジンのアイドリング回転数が下がるまではアクセル全開は禁止です。 冬場はオートチョークが作動している時間が長いので特に注意。

更にエンジンが十分に暖まる前に停止するとエンジン内部やマフラー内に結露が発生します。 この水分はエンジン内部でカーボンに吸着し、カーボンの体積を招きます。 また、マフラー内部も含めて水分が金属を腐食(錆び)させることは言うまでもありません。 更にエンジン内部の水分はエンジンオイルに混じってしまいます。 先の燃え切らないガソリンとともにエンジンオイルが希釈されるのです。 こちらの車両、案の定オイルには水分が混入しています。 本来は燃焼時に発生するカーボンを吸着して洗浄をする役割のエンジンオイルですので黒く汚れるはずなのですが… コーヒー牛乳のように白濁しています。 オイルゲージにも白いクリーム状のものが… これ、オイルに水分が混じったからなんです。 油の付着したお皿やフライパンに水を張っておくと、油分が白く固形化しますよね? それと同じです。

短距離短時間走行を繰り返す小排気量車は特に注意が必要で、一冬乗り越えた車両のオイルを点検すると油面が上昇していることがあります。 オイルが減るのではなく、増えているのです。 実際にはオイルが増えたのではなく、オイルに水とガソリンが混入し油面が上昇しただけなのですが。 こちらの車両もオイルを抜く前にゲージで点検したところ、ゲージのアッパーラインを少し上回る油面でした。 更にオイルを抜くとご覧の通り白濁しており、匂いを嗅ぐとガソリンの香りが… 「あまり乗ってないから(距離は増えてないから)オイル交換はまだしなくていいよね」と間違った判断をしないように注意しましょう。 むしろ、短時間短距離走行が多い原付車両にお乗りの方は半年と言わず冬場は2回くらい交換してもいいくらいかもしれませんね。 タイヤの空気圧も秋から冬にかけて著しく低下します。 一般的に1ヵ月で5〜10%程度低下すると言われる空気圧ですが、夏から秋、秋から冬へと気温が低下すると更に空気が収縮するために低下率が高まるためです。 特に冬場はあちこち点検と整備をしっかりしてあげましょう!

フィルターも備えず、エンジンオイルの容量は少なく、排気量は小さくなるほど高速で稼働していることを考えると原付車両は早めのオイル交換が必要です。 エンジンをしっかりと保護しながら長く乗り続けたいのであれば125cc以下の原付車両は1500〜2000キロ毎のオイル交換、またはあまり乗っていなくても半年以内のオイル交換を実施しましょう。