2025/09/13 17:56:51 更新【ピアジオMP3】タイヤ交換、ブレーキパッド交換、オイル交換ピアジオ MP3 250RL
ピアジオの3輪スクーターMP3 250RLに、前後タイヤ交換、ブレーキパッド交換、オイル交換でご入庫いただきました。

スリーホイラーですので交換するタイヤは3本。 まずフロントから交換していきます。 この車両、ロールロック装置と言って車体の傾きを制御して固定することができます。 自立するんです。 センタースタンドはありますが、サイドスタンドはありません。 自立するから不要なんです。 車体を少しだけ傾けてロールロック。 そのままセンタースタンドをかけるとフロントの片側が浮きます。 この方法でタイヤ交換を行います。

アスクルシャフトなどと言うバイクらしいパーツはフロントタイヤにはありません。 自動車と同じなのでハブからボルトを抜けば車体からホイールが外れます。 この辺はこの車両の整備性の良さです。

ブレーキも左右それぞれに装着されているのですが、ブレーキパッドの摩耗具合は非常に見にくくキャリパーを外してチェックするのが確実。 このタイヤ交換のタイミングで点検します。 フロントは問題なしです。

フロントタイヤはまだ溝がじゅうぶんあるものの、タイヤ側面にひび割れが目立ちます。 紫外線の影響によるゴムのひび割れ…オゾンクラックです。 それ自体はそれほど深刻にならなくても良いのですが、それも程度次第です。 こちらの車両はかなり深いひび割れですし、タイヤのゴム自体も経年劣化で硬くなっています。 硬くなったタイヤは滑りやすく、急ブレーキ時などにスリップをして思ったように泊まれず危険ですので交換しましょう。

交換時にタイヤレバーでタイヤをゆがませるとひび割れが特に目立ちました。

タイヤ交換時にはチューブレスバルブも同時交換。 空気を入れる箇所のチューブレスバルブですが、こちらの車両も一般的なスナップインバルブと呼ばれるものを使っています。 ゴムで出来ているので軽量なうえに、ホイールとの密着性も良好で振動などの衝撃を吸収してくれます。 但しゴムでできているだけにタイヤと同じように劣化して固くなります。 ひび割れもしてきますし、空気を補充する際に力が加わると折れることも。 折れたらすぐにタイヤの空気は抜けてしまい走行不能に… 折れたバルブの交換のためにはタイヤ交換と同じ手間がかかりますので余計な出費にもなります。 タイヤ交換時には同時に交換しましょう。

左右の前輪の交換を終えたら車両を作業台に乗せてリフトアップ! オイル交換です。

搭載するエンジンはピアッジオの名機クオーサーエンジン。 ショートストローク単気筒のスクーター用エンジンで欧州の様々なブランドで使用されています。 とても軽い吹け上がりと高回転までの気持ち良く伸びていくのが特徴でパワフル。 トルクで押し出すというよりも、エンジン回転数の軽やかな上昇とともに車体を引っ張っていくようなフィーリングです。 単気筒250ccならスポーツバイクよりもスポーティに加速するのではないでしょうか。 こちらの車両に使用するのはミッツ・ハー公式推奨エンジンオイルのルブロス。 シリーズ中人気ナンバーワンのMoto-SS 5W-50を使います。 5Wということで低温時のオイルの流動性も良く始動性や良好。 オイルが暖まる前からエンジンへのフリクションロスが軽減され、軽い吹け上がりが約束されます。 5W-50ですのでエンジンが過熱し油温が上昇しても大丈夫。 強力は油膜でエンジンをしっかり保護します。
スポーツバイクはもちろん、常用回転域の高いスクーターにも最適なエンジンオイルです。 極寒地でも、真夏の炎天下でもオイルの性能は安定しており、市街地走行からサーキット走行まで幅広いシチュエーションで使える高性能エンジンオイルです。

APIの最高峰グループVに分類されるエステルと、グループⅣに分類されるPAO。 このトップ2グループをベースに使用しているのがルブロスMoto-SSです。 エステルは分子構造にマイナス極性の酸素物資を持つため、金属の摺動面に密着する性質を持ちます。 一般的なエンジンオイルは、通常6時間程度でピストンやシリンダーから流れ落ちてしまいますが、エステルがあると薄く均一な被膜が付着したままを維持できるため、金属の直接接触をある程度避けることができます。 また、エステルはもともとジェットエンジンの潤滑剤として開発されたため、熱安定性と化学安定性に優れ低粘度のベースオイルを使用できるだけでなく、低粘度でも摩擦を下げてくれるので馬力損失を少なくできます。更にせん断安定性、低温流動性、揮発防止性、洗浄分散性など数々のメリットがあります。
PAO(Poly-a-Olfin)は合成炭化水素とも呼ばれ、エチレンから製造される「a-オレフィン」を原料にし、重合反応と水素化処理によって精製されます。 粘度指数が高く、高温時においてはVHVIよりも厚い油膜を保持することが可能です。 ワックス分を含まないことから低温粘度特性にも優れ、低温時の始動性向上や暖気時間の短縮、省燃費性能に利点があります。 また、エステルの弱点とも言える耐久性を克服しているのも特徴です。

ベースオイルの最高峰エステルと、高性能を維持しつつ実用域におけるメリットや耐久性を高次元でバランスさせたPAOの組み合わせに、ルブロス最大の特徴である新開発ベースオイル“ナノパフォーマ”を配合。 ナノパフォーマの効果はすでにここで何度も説明しておりますが今一度… 1.オイル分子の細分化 2.オイル分子の均一化 3.オイル分子の結合力強化 これらの特徴を持つナノオイル分子は、オイルと金属の隙間を埋め、ベアリング効果や、密閉効果をより高める働きをします。
●ベアリング効果 ベアリング効果によるフリクションが少なくなる結果として 1.油温上昇の抑制・安定化・低減 (摺動抵抗の軽減により、摩擦発生と酸化・劣化の予防) 2.高回転での伸びが良くなる (クリアランスを均一化して、摺動抵抗を軽減) 3.エンジン音を抑える ●密閉効果 密閉効果により吹き抜けを抑える効果として 1.パワーとトルクの上昇 2.ブローバイガスの減少 3.オイルの耐久性向上 これらの特徴を持つMoto-SS ミッツ・ハーでは人気ナンバーワンオイルで、オイルにこだわりのある方にも自信をもっておすすめいたします。

さて、オイル交換が終わればいよいよ作業は後半に突入。 リアタイヤの交換です。 ご覧の通りタイヤの中央部の摩耗が激しくなっています。 スクーターって後輪荷重ですし、こちらのMP3はやや車重が重いうえに12インチと小径タイヤなので摩耗が早いのです。 小径ホイールだと発進加速にも優れてキビキビ走れますし、足つき性やシート下のラゲッジスペースが確保しやすいなどのメリットは多いのですが、耐久性が弱点ですね。

この車両のリアタイヤ交換は少し面倒。 まずマフラーを外します。 サイレンサーを外すと見える様々なパーツ…これをひとつずつ外していきます。 ネジを無くさないように注意しましょう。 まずパーキングブレーキのブレーキキャリパーを取り外します。 機械式(ワイヤー式)のディスクブレーキキャリパーです。 続いて主たるリアブレーキ。 これは当然ですが油圧式です。 今回はこのブレーキパッドも交換します。 タイヤ交換と同時に実施したほうが工賃も安くなります。

リアサスペンションをずらし、インナーフェンダーのボルトを取外し、ホイールのセンターナットを外します。 このセンターナットはホイールと手前のスイングアームを共にドライブシャフトに固定しています。 スイングアームのエンジン側の固定ボルトを取り外したらスイングアームを取り外します。 スイングアームのドライブシャフト挿入部分はベアリングが備わっているのですが、当然シャフトとベアリングは密着しておりガタつきはありません。 まっすぐスルリと抜け…ないんのです…どうしてもわずかに摩耗してガタがでていたり、汚れや錆がでていたり、錆が出るとシャフトが太ってしまうのでベアリングと噛み合って抜けない… 注油しながらあれこれ力を加えて抜けました。

ドライブシャフトは奇麗に洗浄し、錆やキズがないかを点検。 錆などがあれば研磨し、ホイール装着前にはグリスを塗布しておきます。

ホイールからタイヤを外し、新旧タイヤを並べて比較。 その差歴然。 本来はタイヤの断面は丸みがあり、路面と接地する部分は直進時もバンク時(コーナーリング時)も一定の面積ですが、減ってしまったタイヤは直進時の中央部分が減って接地面が増えています。 この状態だとオートバイを寝かしにくく、ハンドルが取られるように曲がりにくくなります。 タイヤの摩耗はスリップなどの影響だけでなく、オートバイは操安性にダイレクトに影響を与えますので注意しましょう。

リアタイヤを交換したら外したパーツを再度装着していきます。 スイングアームを装着し、インナーフェンダーとリアサスペンションを固定。 リアブレーキは装着前にパッドを交換。 交換後にスイングアームへ固定しブレーキフルードの交換。

ブレーキフルードはディスクブレーキの摩擦熱により沸騰し気泡が発生しないように沸点が高くなっています。 気泡が発生するとブレーキが効かなくなりますからね。 このブレーキフルードは吸湿性が高く、大気中に湿度を吸収してしまうのです。 何故かと言えば…フルードのタンク…マスターシリンダー部のブレーキフルードリザーバータンクは密閉されておらず、空気が出入りする構造になっているから。 吸湿すると当然ながら沸点が低下します。 つまりブレーキフルードは走行距離とは関係なく、時間の経過とともに劣化するものなので定期的に交換しましょう。 できれば1年に一度、または2年に一度の交換が必須です。 雨天走行や湿気の多い場所に車両を停車させている方などは早めに実施しましょう。

ブレーキパッド、フルード交換が終わった後にはパーキングブレーキを装着し、サイレンサーをもとに戻せば作業完了。 今回使用したのはミシュランタイヤ(フランス) ミシュラン、ピレリ、メッツラー等の欧州ブランドや、ブリヂストン、ダンロップ、IRCといった日本メーカー、性能の向上が著しい(本当に著しい)TIMSUNやチェンシンといった新興ブランド等、さまざまなメーカーとのタイヤを取り扱っています。 お好みのブランドはもちろん、迷われている方はオートバイの使用方法(用途)や予算に応じてご提案させていただきますのでお気軽にご相談ください!
