2025/03/16 17:02:49 更新【ピアジオ MP3】スクータータイヤ交換、エンジンオイル交換、プラグ交換ピアジオ MP3 250RL
イタリアの3輪(スリーホイラー)スクーター ピアジオMP3に整備でご入庫いただきました。

前輪2輪、後輪1輪のスリーホイラー。 ヤマハのトリシティでも採用されているレイアウトですあ実用化はこちらの方が早く、また乗り心地の抜群のスクーターです。 ロールロックという機能が備えられ、スイッチひとつで車体の左右のロール(傾き)を固定することができます。 つまりスタンドを使わずに自立するのです。 ロックや解除はスイッチ操作だけ。 安全装置で走行中にはロックできませんが、停止する直前の微速状態だとロック可能になります。 発進時はアクセルをあけてエンジン回転数が上昇すればロックが自動解除。 つまり信号で停止する直前にはスイッチでロックさせ、青信号ではそのまま走り出せばOK 目的地まで足を地面につかずに走り切ることもできます。

今回はリアタイヤの交換とエンジンオイルの交換、同時に各部の点検を兼ねた整備のご依頼です。 スクーターはその乗車姿勢や車体の構成によって後輪に荷重がかかりやすくなっています。 こちらのMP3 250RLは足つき性への配慮として後輪には小径12インチホイールを採用していることもあり、リアタイヤの摩耗が早いのです。 ご覧のとり中央部はツルツル。 これだと雨の時ばかりか晴天時でもスリップの可能性があります。

スクーターのタイヤ交換ではまず最初にマフラーを外す必要があります。 マフラー内に触媒もあるため、走行後はなかなか冷めてくれません。 火傷に気を付けて取り外します。

マフラーを外したらスイングアームも取る必要があります。 50ccのスクーターはスイングアームの無い車両がほとんどですが、50cc超の車両だと装備している場合があります。 更にMP3は取り外すものが他にもたくさんあります。 順に取り外していくのですがボルト(ネジ)を無くさないように注意しながら作業をすすめます。

まずは2つのブレーキ。 ひとつは通常の停止するためのブレーキキャリパー。 油圧ブレーキです。 もうひとつはワイヤー(機械式)のブレーキキャリパーで、これはパーキングブレーキになります。 この2つのブレーキキャリパーを取り外します。 取り外したら必ずブレーキパッドの摩耗具合を点検します。

続けてリアサスペンションを外します。 2本あるうちのスイングアーム側(右側)を外します。 このあとはスイングアームを固定しているボルト類をすべて外し、スイングアームを取り外します。

スイングアームを取り外したら、必ずスイングアームのベアリングを点検。 必要に応じてグリスアップ(注油)します。 ここまでくればあとは車体からホイールを取り外すのですが、こちらの車両はスイングアームの取外しにかなり苦労しました。 ドライブシャフトに編摩耗が見られ、スイングアームのベアリングを抜き取るのにかなりの手間を要しました。

車体からホイールを外し、ホイールから古いタイヤを外します。 新旧のタイヤを比べると摩耗状態だけでなく、形状も変化していることが一目瞭然です。 これだとコーナーリング時にスムーズに車体が傾かず乗りにくくなっていたと思います。 タイヤの中央部分は本来路面と接地するゴムが全て摩耗して消失。 タイヤの強度を図る部分が露出しています。 これは雨天時はもちろん晴天時でも滑りやすく、ブレーキ時にはロックしてスリップし制動距離が伸びてしまっていたはずです。 ゴムも薄くなっていますのでパンクしやすく危険です。 定期的に空気圧を調整する際に摩耗状態もチェックしましょう。

ホイールに新しいタイヤを組む前に、チューブレスバルブ(空気を入れる部分)も交換します。 スナップインバルブと呼ばれるタイプで、このバルブの根元はゴム製です。 摩耗することはありませんが紫外線などの影響で劣化します。 劣化したうえにゴムが硬化してくると折れやすくなり、空気圧調整時などに破損することがあります。 ここが破損すると瞬時にタイヤの空気が抜けて走行不能になります。 交換するためにはタイヤ交換と同じ手間をかける必要がありますので、タイヤ交換時にはバルブも同時に交換しましょう。

新しいタイヤをホイールに組んだらホイールを車体に装着。 段付き摩耗してベアリングの抜けにくくなっていたシャフトはグリスアップしておきます。 逆の手順でスイングアームを装着し、リアサスペンション、ブレーキキャリパー、マフラーを装着すればリアタイヤの交換は終了。 リアに比較すればながもちするフロントタイヤ。 今回はフロントタイヤは空気圧調整のみで交換はしません。 車種や乗りかたによりますがスクーターの場合、リアタイヤ交換2〜3回のうちフロントタイヤは1回の交換というのが一般的でしょうか。

今回はミシュラン(仏)のタイヤを装着しました。 ミッツ・ハーでは様々なメーカーのタイヤを取り扱っています。 ご希望の銘柄があればご指示ください。 もちろん、オートバイの使用用途や頻度をお伺いし、予算を考慮しつつ最適なタイヤを当店からご提案もさせていただきます。

引き続きエンジンオイルも交換。 搭載されるピアジオクオーサーエンジンはとにかく高回転型なのが特徴。 ギヤ比が高く、常に高回転で動いているエンジンです。 自動車に比べてオートバイの常用回転域は高く、2〜3倍を超える回転数を維持して走ります。 それだけ金属表面の油膜切れが起きやすく、より強い油膜を形成することのできる高性能オイルを使う必要があります。 自動車用エンジンオイルに比べてオートバイ用は平均してオイル価格が高いのはこのためです。 オートバイは車種によってはエンジンのみならずミッションやクラッチのオイルも兼ねます。 つまり自動車用より性能が高いオイルなのです。 自動車にオートバイ用オイルを入れても問題ありませんが、オートバイに自動車用オイルを使用するのはやめましょう。

自動車より常用回転域が2〜3倍超のオートバイですので交換サイクルも早くなります。 油膜切れを起こしてからでは手遅れです。 オイルが劣化し、エンジンにダメージを与えないように注意しましょう。 一般的に3000〜5000キロ毎、または半年毎(どちらか早い時期)に交換してください。 前回のオイル交換時にオイルフィルターは交換済み。 オイルフィルターはオイル交換2回のうち1回の割合で交換しましょう。 今回使用するエンジンオイルはミッツ・ハー公式推奨エンジンオイルのルブロス。 シリーズ中、もっとの人気のあるMoto-SS 5W-50を使用します。 APIの最高峰グループVに分類されるエステルと、グループⅣに分類されるPAO。 このトップ2グループをベースに使用しているのがルブロスMoto-SSです。

もともとジェットエンジンの潤滑剤として開発されエステルは熱安定性と化学安定性に優れ低粘度のベースオイルを使用することができます。 低粘度オイルは極寒時の始動性がよく、摩擦抵抗を下げてくれるので馬力損失を少なくできます。 更にせん断安定性、低温流動性、揮発防止性、洗浄分散性など数々のメリットがあります。 また金属の摺動面に密着する性質を持つのも特徴です。 PAO(Poly-a-Olfin)は粘度指数が高く、高温時においてはVHVIよりも厚い油膜を保持することが可能です。 ワックス分を含まないことから低温粘度特性にも優れ、低温時の始動性向上や暖気時間の短縮、省燃費性能に利点があります。 また、エステルの弱点とも言える耐久性を克服しているのも特徴です。 ストリートからワインディング、サーキット走行会等のハードな走りまで幅広くお使いいただけます。 Moto-SSは、高出力エンジンや高回転エンジンを搭載した高性能車に最適で、特にレスポンスを重視したライダーには最適なエンジンオイルです。 また、常に高回転となるスクーターにも最適な万能高級エンジンオイルです。

オイル交換の合間に各部を点検します。 灯火類の確認やサスペンションのオイル漏れ、動きの確認。 各可動部の状態や、車両各部に破損や欠損がないか。 今回は交換しなかった前輪の空気圧調整やタイヤ表面の点検も実施します。 スパークプラグもしばらく交換していなかったので点検し交換することにします。

エンジンの常用回転数が2〜3倍ということは、エンジン内のガソリンを燃焼させるために発火するスパークプラグの点火数も2〜3倍。 つまりプラグの交換時期も早くなります。 オートバイのプラグはメーカーによれば5000〜8000キロ毎に交換が必要になります。

オートバイには一般プラグに分類されます。 白金・イリジウムプラグだからといって長寿命ではありません。 オートバイに使われるイリジウムプラグ等は中心電極のみ白金やイリジウム合金が採用されています。 この片貴金属タイプのプラグだと自動車は15000〜20000キロ(軽自動車は7000〜1000キロ)、オートバイなら5000キロ毎の交換がメーカーにより推奨されます。 自動車で長寿命タイプのプラグを採用していることがありますがこれは一般プラグと異なり、電極と外側電極の放電部分に白金合金を採用しています。 この両貴金属タイプのプラグだと外側電極のプラグの消耗が少なく、長寿命タイプと言えます。 オートバイのプラグは早めに交換しましょう。

リアタイヤ交換、エンジンオイル交換、スパークプラグ交換と車両各部の点検を完了しました。 ミッツ・ハーではできるだけお待たせすることの無いように整備予約を承っています。 整備内容のご相談も含め、どうぞお気軽にお電話でご相談ください。