リアサスペンションの交換でご入庫いただきましたカワサキW650 ノーマルのサスペンションから、YSSのアジャスタブルサスペンションに交換です。

タイに本社を置くYSSは2輪、4輪のサスペンションメーカーです。 OEMにてメーカーの新車サスペンションの製造を行っているなど、技術力や品質には定評がありました。 近年は自社ブランドにて様々な車種のサスペンションを展開。 高性能高品質でありながらリーズナブルな価格でサーキット等でもよく見かけ、世界選手権等でもタイトルを獲得すなどメジャーなブランドとなりつつあるサスペンションです。

ノーマルのリアサスペンションはスプリングの長さを変えて固さを変えるプリロード調整機能がありました。 ライダーの体重や二人乗りの有無、荷物の積載状況等に応じてサスペンションの固さを変えられます。 よくスポーツ走行をするから足元を固める…という人がいますが間違いです。 基本的にはきちんとストローク（伸び縮み）しなくてはサスペンションの意味がありません。 その為、走行シーンによってスプリングの固さを変えるのではなく、ライダーの体重などにあわせてしっかりとストロークする量を確保しながらスプリングの固さを決定するのです。

走行シーンによって変えるのはダンパーの固さです。 サスペンションはスプリングで衝撃を吸収する機能と、スプリングがたわんで跳ねてしまうのを制御するオイルダンパーで構成されます。 ダンパーはわかりやすく言えば多くの家庭の玄関の扉。 強風などでいきなり閉じてもゆっくりと閉じてくれますよね？ あれです。 あの動きを早くしたり遅くしたり、つまりダンパーを強くしたり弱くしたりで調整するのです。

W650にはノーマルのリアサスペンションにはこのダンパーの調整機能がありません。 減衰調整機能ですね。 リアサスペンションの場合、伸び側の減衰調整ができると便利です。 スムーズに伸びて路面追従性を高めるか、伸びる速度を抑えて車体の挙動を抑えるか。 路面の荒れたワインディングなら減衰は弱めにしてスムーズに伸びるようにしたほうがいいでしょう。 高速道路では逆に強めにして車体を安定させていいと思います。 走行シーンによって変えるのはこのダンパー機能です。

今回装着するYSSのZ362というモデルではこの伸び側減衰が30段階で調整できます。 工具不要で簡単に調整できます。 スプリングの固さを調整するプリロードは無段階で調整可能。 車高は15mmの上下調整が可能。 なかなかの高性能です。 それでいて見た目はW650のビンテージムードを崩すことなく、シンプルな造り。 シルバーのボディに黒いスプリングを選びましたが、お好みでボディカラーは黒も選べますし、スプリングはメッキか赤も選べます。 せっかくのカスタムなんだから目立たせたいという人は赤いスプリングなんか良いですね。 逆に現在のオートバイのムードは崩さないように、さりげなくカスタムしたいなら黒やメッキのスプリングが良いでしょう。

交換自体はそれほど難しくありませんが、交換後にはライダーの体重にあわせてスプリングの固さ（プリロード）を調整します。 センタースタンドをかけてタイヤを地面から浮かせた状態でアスクルシャフトと車体との距離。 タイヤを地面につけ、車体の自重をかけてあがたときのアスクルシャフトと車体との距離。 ライダーが乗車した時のアスクルシャフトと車体との距離。 これらを測定し基礎となるプリロードの強さ（スプリングの固さ/長さ）を変えます。 サスペンションは交換して終わりじゃなく、このような調整をして初めて最適化されます。 ライダーの体重が大きく変化したり、ツーリングでたくさんの荷物を積んだり、あるいは二人乗りをしたり、それぞれのシチュエーション基礎となるプリロードの最適値は変わります。 突き詰め始めると沼のようにハマることもあるけども、最適なセッティングにキマるとこんなにもコーナーが曲がりやすく、乗り心地がよくなるというサスペンションセッティング。 細かく調整できるサスペンションへの変更はおすすめの実用的なカスタムです。