2021年大予想!グーバイク編集部・座談会

2021年
大予想!
グーバイク編集部・座談会

グーバイク編集部稲垣 正倫 Masanori Inagaki伊井 覚 Satolu Ii佐賀山 敏行 Toshiyuki Sagayama

伊井:さて、今回の特集が2021年の最新バイク事情ということなのですが、ここ数年のニューモデルを見ていると、新開発エンジンを搭載した完全なニューモデルよりも、高性能なスポーツバイクのエンジンが、街乗りやクルーザーモデルにも使われるようになってますね。

稲垣:そう。CRF1100Lアフリカツインのエンジンを使ったレブル1100やVストローム250、DUCATIだとパニガーレV4からのムルティストラーダとかだね。そういう方向だとたとえばNC750のエンジンを使ってミドルサイズのアフリカツインとかおもしろそうだと思うけどなぁ。

佐賀山:やっぱりガソリンエンジンの未来が短いことが予想される今、まるっきり新しいガソリンエンジンを高いコストかけて新しく作るのは難しいよね。だからこそ、BMWのR18の空冷エンジンは注目度が高い。そこから派生するとしたらバガースタイルとか、K1600Bみたいなフルカバークルーザーが出たらおもしろい。ゴールドウイングのBMW版みたいなやつ。

ヤマハ MT-07 テネレ700やXSR700にはMT-07のエンジンが使われている。

テネレ700やXSR700にはMT-07のエンジンが使われている。

伊井:それだとCT125ハンターカブのエンジンも、まだまだ広がりそうですよね。そもそもあれもグローバルを見据えたモンキー125のエンジンなんですけど。

佐賀山:ゴリラ125とか出たらおもしろいよね。10Lタンク搭載であのエンジンなら、600kmくらい走るはず。コレは熱い!

稲垣:そうそう。最近の傾向といえば、排気ガス規制に対応できず、一度ファイナルになったモデルの復活もあるよね。モンキーとかW800とか。

佐賀山:でもさすがにセローとSRは厳しいだろうな。現役SR乗りの希望としては、ヤマハの空冷エンジンがこのまま消えていくのは悲しいけどね。ホンダやカワサキも頑張って空冷エンジンのモデルを出してるし、もしSRのニューモデルが出るなら、水冷化はせず、排気量が大きくなってもいいから空冷エンジンを復活させてヤマハの意地を見せてほしいな。2007年のコンセプトモデル「SAKURA」みたいなのが今になって出てきたらおもしろいよね。

伊井:海外を見るとけっこう空冷の中排気量エンジンが元気なんですよね。ホンダのハイネスCB350とか。あとロイヤルエンフィールドとかも。

佐賀山:モデルのグローバル化も進んでいるから、海外モデルが日本に入ってくる可能性はあるよね。

伊井:あとはやっぱり電子制御ですかね?

稲垣:もうだいたい決まってきちゃったけど、今後増えていってほしいのは新型のムルティについたアダプティブ・クルーズ・コントロールだよね。やっぱりクルーザーやツアラーにはあると便利だよ。それとBMWが2018年に発表した自動運転のR1200GSプロトタイプ。クルマとは違ってライダーの運転支援の目的ということだけど、未来感がすごいよね。でもそれよりもこれからの10年は電動化だろうね。

佐賀山:ハーレーのライブワイヤーは衝撃だったよね。ハーレーはパンアメリカとか出して強すぎるメーカーイメージからの脱却をねらっているけど、個人的には革新的な水冷のクルーザーを出してほしいんだよね。でもそんな僕でもライブワイヤーは気になるモデル。もう少し価格が安く、航続距離が伸びれば買います(笑)。

伊井:今のところ日本や欧州では2050年をカーボンニュートラル(脱炭素社会)としていますよね。そのために中国や欧州各国は2035年までにガソリン車を廃止すると宣言していますし、小池都知事が東京都は2035年までにガソリンだけの二輪車の販売を禁止する目標を打ち出すと言ってますね。

稲垣:2月の記事だけど東洋経済(※)でヤマハの日社長が「EVが広がることは、われわれにとってリスクとしても大きい。もともとエンジンの会社である以上、モーターに移行してしまうと当社の強みが生かせなくなってしまう。とはいえ、人が移動する、というニーズ自体はなくならない。できればモーターを内製化したい。ただ作るだけではなく、競争力がある商品でないと勝てない。移動手段の提供とパワートレインの2軸で生き残っていきたい」ってインタビューに答えてる。技術的には可能だけど、ニーズを見極めたい、という感じだね。

佐賀山:バッテリー交換式電動二輪車の実証実験も着実に進んでいるし、近い将来必ず電動化の時代はくるよね。だけどそのときに、いま売ってるガソリンエンジンのバイクたちが、いつまで、どんな形で生き残るのか、が重要な問題だよね。

※2020年2月9日5:00 東洋経済ONLINE(記者:中野大樹)より引用

バックナンバー

もっと見る