排気量別に見る!! 個性豊かなスーパースポーツ!

ニーゴー・ヨンヒャク・ミドル・リッター・・・

排気量別に見る!!

個性豊
スーパースポーツ!

ニーゴー・ヨンヒャク・ミドル・リッター・・・排気量別に見る!! 個性豊かなスーパースポーツ!

ワインディングロードやサーキットにおける運動性能を重視。それがスーパースポーツの特徴だが、実際の乗り味は各車各様で、速さのみに特化した市販レーサー的な車両が存在すれば快適なツーリングが楽しめるオールラウンダーも存在するのだ。

Photo/Shigeru Tokunaga  Text/Tomohiko Nakamura・Toshiyuki Sagayama

エンジン形式が同じでもキャラクターは千差万別

 ネイキッドやアメリカン、スクーター、アドベンチャーツアラーなど、バイクの世界にはさまざまなブームがあるけれど、そんななかで唯一、昔から確固たる地位を維持しているのが、ワインディングロードやサーキットでの運動性能を追求したSS:スーパースポーツだ。
 このジャンルのおもしろいところは、排気量の選択肢が豊富なうえに、各車各様の個性が備わっていることだろう。たとえば近年の日本の4メーカーは、250ccクラスに2気筒、1000ccクラスに4気筒のSSを投入しているが、エンジン形式が同じであっても、キャラクターは千差万別。そして中古車を視野に入れるなら、1990年代以前は2スト250cc2気筒や4スト400cc4気筒、125cc以下のSSが存在したため、選択肢はさらに広がる。
 もっとも選択肢の広さは、見方によっては失敗の一因になるのかもしれない。具体的には、250ccでSSデビューを飾ろうというライダーにとって、高回転指向のZX-25Rは必ずしもベストではないし、ツーリング好きのライダーがCBR1000RR-Rを購入したら、超スパルタンな特性に戸惑うだろう。だからSSの購入時には、自分がどんな特性を求めているかを、じっくり検討する必要があるのだ。
 その検討の一助になることを念頭に置き、当企画ではさまざまな角度から、SSならではの魅力を探ってみたい。

話題のニューマシンでワインディングを堪能

KAWASAKI
Ninja ZX-25R

新車価格♦82万5000円~
※写真はNinja ZX-25R SE KRT EDITION
カワサキ ニンジャ ZX-25R
SPECIFICATION ※<>内はSE仕様
エンジン形式 水冷4ストロークDOHC
4バルブ並列4気筒
総排気量 249cc
ボア×ストローク 50.0mm×31.8mm
最高出力 33kW(45PS)/15500rpm
ラムエア加圧時:34kW(46PS)/15500rpm
最大トルク 21N・m/13000rpm
変速機 6速リターン
全長×全幅×全高 1980×750×1110(mm)
ホイールベース 1380mm
シート高 785mm
車両重量 183 <184>kg
タンク容量 15L
タイヤサイズ F:110/70-17
R:150/60-17
ブレーキ形式 F:油圧式ディスク
R:油圧式ディスク

こんなトコロがスーパースポーツ

カワサキ ニンジャ ZX-25R 並列4気筒エンジン

クラス唯一の
並列4気筒エンジン

50×31.8mmというボア×ストロークは、ZX-10R:76×55mmやZX-6R:67×45.1mmより過激な設定。吸気系にはラムエア機構を導入。

カワサキ ニンジャ ZX-25R フロント足回り

ラジアルマウントの
ブレーキ

フロントキャリパーは、250ccクラス唯一のラジアルマウント式。フォークはφ37mm倒立式で、ラジアルの標準タイヤはダンロップGPR-300。

カワサキ ニンジャ ZX-25R クイックシフター

SE仕様は
クイックシフターを装備

アップとダウンの両方に対応する、クイックシフターの作動感はZX-10Rと同等。車体がバンクしている最中でも、安心してシフト操作が可能だ。

兄貴分と同様の姿勢で運動性能を徹底追及

 250ccクラスではほぼ四半世紀ぶりとなる、並列4気筒エンジンばかりに注目が集まりがちだが、今年から発売が始まったニンジャZX-25Rの最大の特徴は、兄貴分のZX-10RやZX-6Rに通じるスタンスで、マシン全体が開発されたことだと僕は思っている。
 具体的な話をするなら、シャシーは相当以上の負荷をかけても音を上げず、ここぞという場面では前後輪の接地感が明確に伝わってくるし、トラコンやABS、オートブリッパー機能付きのクイックシフター(アップとダウンの両方に対応)といった電子制御は、サーキットでも十分に使える設定。もっとも高価な兄貴分と比べれば、リアショックやタイヤなどにはコストダウンの気配を感じるのだけれど、SSならではの魅力を真摯に追及する姿勢は、ZX-10Rや6Rと同様にして、かつてのZXR250に負けず劣らずなのだ。
 では肝心の並列4気筒エンジンはどうかと言うと、それはもうやっぱり、ムチャクチャ気持ちいい!としか言いようがない。低速トルクの細さを考えると、エントリーユーザーには安易にオススメできないし、日本の排出ガス規制に対応するため、高回転域のパワーは少々抑制されているようだが、そういった事実を踏まえたうえでも、レッドゾーン手前の15000~17000rpn前後を維持して走った際の高揚感は、何ものにも代え難いのだから。
 ちなみに、ZXRを含めたかつての250cc並列4気筒SSは、兄貴分にステップアップするための踏み台、あるいは小柄なライダーや一部の趣味人用、というイメージが強かったのだが、ZX-25Rはそういう存在にはならないだろう。むしろハイパワー化が進んだ結果、敷居が高くなった感がある兄貴分ではなく、気軽に潜在能力を引き出せる並列4気筒SSとして、このバイクを選択するライダーが多いはずだ。

中村 友彦

ジャーナリスト
中村さんの結論!

よくぞ出してくれた!この特性なら初心者からベテランまで、誰もが並列4気筒SSならではの魅力を堪能できるに違いない。とはいえ個人的には、実用性に優れる並列2気筒のニンジャ250の販売・熟成も続けてほしいところ。

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